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衆院選自民大勝後、初のGDP統計に保守系4紙が“四者四様”の注文

論評ないリベラル紙

 17日付読売「円安を放置しては活力戻らぬ」、日経「内需の底上げは財政よりも民間主導で」、産経「官民で強い経済の実現を」、18日付本紙「賃上げ継続で内需に勢いを」――。

 2025年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値が実質で前期比0・1%増、年率で0・2%増となったことを受けて、論評を掲載した各紙の社説見出しである。

 衆院選で高市早苗首相(自民党総裁)が歴史的大勝を収めてから初のGDP統計だけに、政府は今後どのような対応を取るべきなのかという点に注目し、各紙の論評を見たい。

 列挙した通り、社説掲載は保守系紙ばかり。自民党圧勝で元気が出ないのか、リベラル系紙はなかった。

 さて、その論評だが、思いのほか違いが出た。長引く物価高が経済成長の重しになっているという点で各紙の認識は共通しているが、まず、読売は「過度な円安を是正し、賃上げの環境を整えることが不可欠だ」とした。

 「食料品やエネルギーを輸入に頼る日本にとって、円安が進んで、物価高を助長する弊害は大きい」からで、日本経済の活性化に向けても「まず行き過ぎた円安を是正したい」と指摘する。そのために、読売が重要と強調するのは「政府が財政規律を守り、金融市場の信認を得ること」。

 もっとも、同紙も記すように、金融市場では衆院選の自民党の歴史的大勝で、当面は野党からの無責任な減税要求をのむ必要性が薄れたとの見方が広がっているとして、「円安は進まずに長期金利も低下傾向にある」と認める。

 高市首相は衆院選後の会見で「市場からの信認確保」重視を表明し、円安進行に対しては片山さつき財務相が強い姿勢で臨むことを常々表明しているから、同紙の主張は言わずもがな、か。

投資どう引き出すか

 日経の「財政よりも民間主導で」は、いかにも日経らしい主張で、「日本経済は緩やかな回復が続いているものの、個人消費は力強さに欠ける」が、「内需拡大に向け人材や新分野への企業の投資をどう引き出すかを真剣に議論すべきときだ」と言う。

 同紙がそう言うのも、「現在の日本経済で内需の本格的な拡大を阻むのは構造的な人手不足をはじめとする供給制約であり、短期的な需要不足ではない」と見るからだ。

 確かにその通りで、同紙が言うように、今「問われているのはインフレ経済とどう向き合うかだ」。

 インフレ経済の下での政府の物価高対策は、「目先のインフレ率は縮小が見込まれるが、需要の刺激を通じて物価高に拍車をかける危険性をはらむ」のは確か。物価高対策には功罪の二面性があるというわけだが、だからといって、物価高対策は必要ないということでもない。コメをはじめとする食料品やエネルギー価格の高騰という状況には物価高対策は不可欠だ。結局は程度の問題、功罪のバランスの見極めが大事ということ。

 日経は最後に「実質GDPを力強く増やすには、財政による需要刺激よりも、民間の賃上げや投資をいかに伸ばすかという視点を忘れてはならない」とし、社説見出しに「民間主導で」と記したが、産経が言うように「官民で」というのがより正確だろう。

強さ取り戻す正念場

 その産経は、「いまだ低空飛行から脱せないものの、一方で底堅さもある」とし、今後「日本経済は、高市早苗政権の目指す『強さ』を取り戻せるかどうかの正念場だとみるべきだろう」と指摘。

 成長型経済を実現するには、賃上げを起点にした経済の好循環が欠かせないとして、「まずは春闘で、物価高に負けない賃金増を確実にできるかが企業に問われよう」とした。

 本紙は、内需に力強さは見られないが、「最近になり物価高に鈍化の兆しが見えてきた」とし、高い賃上げが継続できれば、「賃金と物価の好循環実現への弾みとなろう」とし、2年間消費税ゼロ政策の早期成立への期待も記した。

(床井明男)

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