トップオピニオンメディアウォッチ「巨人が目を覚ました」ドイツ語圏メディア、高市自民圧勝に強い関心

「巨人が目を覚ました」ドイツ語圏メディア、高市自民圧勝に強い関心

ドイツの新聞イメージ
ドイツの新聞イメージ

「若者が支持」と指摘

 8日、日本で行われた衆院選は欧州でも関心が高く、東京発で次々と速報された。

 オーストリアでは8日午後19時半(現地時間)のプライムタイムのニュース番組で、高市早苗首相率いる与党自由民主党の「地滑り的勝利」を大きく報道。国営放送(ORF)は高市首相が訪日した韓国の李在明大統領とK-POPに合わせてドラムを演奏する姿を紹介し、日本のこれまでの政治家とは異なる政治家のイメージを伝えた。そして「日本では大雪に見舞われ、国民が投票場に行くのも大変と懸念されていたが、政治の変革を願う国民の足を止めることはできなかった」と、“高市人気”を報じた。

 自民党の大勝について、ドイツ語圏メディアは等しく「歴史的な圧勝」と報じている。政治学者のアクセル・クライン氏はドイツ通信社(DPA)に対し、「高市氏はソーシャルメディアやテレビを通じて強力な指導者のイメージを戦略的に打ち出す方法を理解していた」と説明、高市首相の勝因は「若者の有権者の支持があった」ことを指摘している。

 高市首相が日本で最初の女性首相であることは欧州でもよく知られている。自民党が単独で議席の3分の2を獲得したことを「歴史的な成功」と報じる一方、高市首相の安全保障政策にも焦点が当てられている。

 ドイツ語圏の代表紙「フランクフルター・アルゲマイネ」(FAZ)やスイスの「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング」(NZZ)は「選挙の結果、日本の政治地図が大きく塗り替えられた」という見方で一致している。すなわち、「日本が長年の政治的停滞を脱し、より明確な右派路線へと舵(かじ)を切った」という認識だ。

日中関係の変化注視

 FAZは権力構造と統治の安定という視点から「強いリーダーシップへの回帰」を評価しつつ、近隣諸国との緊張を警戒。高市首相の勝利を「最大限の権力掌握」と表現し、日本の指導者がこれほど強固な国民の付託を得たことは近年稀(まれ)だと報じている。また、防衛力の劇的な強化が日中関係に与える影響について注視が必要であると分析している。

 NZZは経済・財政政策の合理性の視点から「ポピュリズム的財政」への危惧と、経済再生への期待が混在したトーンで報じている。高市首相が巨額の債務を抱えながらも「積極的な財政出動」を掲げて勝利したことに注目している。この選挙結果が、日本の財政規律をさらに緩めるリスクがある一方で、市場には一定の安定感を与える可能性があると分析している。

 ORFもまた、「日本政府は巨額の政府支出を開始した。これらの支出の財源が不透明であることから、金融市場に不安が生じているが、アナリストたちは高市氏の圧勝を明るい兆しと捉えている。アナリストによると、この圧勝は株式市場の上昇にとって良い兆候だ。自民党が過半数を占めれば金融市場は安定する可能性がある」と予測。高市効果に期待している。

 ドイツ民間放送ニュース専門局n-tvのユリアネ・キッパー記者は9日、「日本に全く新しい時代が始まろうとしている」という見出しで東京株式市場の活況について、「アナリストによると、日本の株式市場は単なる史上最高値更新以上のものを経験しつつある。市場専門家はこれを新時代の幕開けと見ている」と報じ、「眠れる巨人が目覚めた」と語った経営コンサルティング会社アルゴン・アンド・カンパニーのマーティン・ガイスラー氏のコメントを紹介し、「史上最高値は、日本が世界の舞台で戦略的に重要な地位に復帰したことを意味する」と述べている。

中道連合は衰退傾向

 なお、ORFは野党第1党「中道改革連合」の惨敗にも言及、「中道連合はファンタジーと絶望から生まれた」と評したジャパンタイムズを引用し、「連合を構成する二つの政党は『不可逆的な衰退傾向』にある」と辛辣(しんらつ)に指摘している。

(小川 敏)

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