韓国保守の崩壊が止まらない。最近行われた韓国ギャラップの世論調査では左派系の与党「共に民主党」の支持率が45%なのに対し、保守系野党「国民の力」は26%にすぎず、その差は19%。月刊中央(2月号)はこれを「通常の選挙局面では反転しにくいレベルだ」と評している。
同誌は韓国の民間シンクタンク「インサイト・ケイ研究所」の裵鍾燦(ペジョンチャン)所長による「20%台に閉じ込められた国民の力、尹アゲインは生存戦略ではない」の記事を掲載した。「尹アゲイン」とは尹錫悦前大統領が罷免された後も尹氏を支持し続ける保守層が訴えるスローガンで、左派政権への反発と保守の再起を訴えるフレーズだ。
韓国民の政治性向は従来「保守30%、左派30%、中間層40%」と言われてきた。大統領選のたびにそれぞれの固定支持層の上に、中間層をどれだけ取り込むかが勝敗の分かれ目だった。
ところが、尹大統領の非常戒厳、その後の弾劾罷免により、保守層は尹氏を熱狂的に支持する層と、保守であっても「憲政の破壊」と言われた戒厳は支持できないとする側に分かれた。バラバラになった保守を再結集させるだけの求心力を持った指導者も未(いま)だに登場していない。
保守が中心軸を失って分裂しているのに加え、「選挙の方向を決定する構造軸」と言われる中間層の支持すらも16%にとどまっている。これでは保守が巻き返して左派を凌駕(りょうが)するという見通しを立てることは難しい。
国民の力が支持されない理由について、裵所長は「政策の問題ではなく、イメージとアイデンティティーの問題」と説く。「未来志向的な(政権)代替勢力ではなく、過去にとどまっている葛藤の主体として認識している」と言うのだ。つまり尹支持者には戒厳とその後の国内分裂のイメージがこびりついているというわけである。
だから、尹氏を担ぎ上げて、再び保守を結集させようとの試みはむしろ「過去の葛藤と評価を現在に引き寄せるという逆効果を生み出す」と裵氏は強調する。それは当然で、どう見ても熱狂的ファン以外には、尹氏のやったことは「支離滅裂の暴挙」としか映らず、彼を再び旗頭にしたところで、中間層へ支持を広げられるとは到底思えない。
尹氏は確かに保守のアイコンだが、裵氏の分析では「尹氏の支持層は既に国民の力の『基本支持層』に含まれていて、新しい票をもたらさない」もので、「拡張性がない」という。拡張性とは「支持層の外縁」を広げることで、尹アゲインではそれができないということだ。
誰ならそれが可能なのか。裵氏は幾人かの名前を挙げる。まず韓東勲(ハンドンフン)元代表だ。韓氏は尹氏と同じ検事出身で政界入りしたが、尹氏とは戒厳を巡って対立し、またその経歴から「政治スタイルが違う」政治家として認識された。
李俊錫(イジュンソク)氏は2021年に、当時36歳の若さで党代表に就き、若年層特に20代30代男性へ支持を広げたが、党内抗争と自身への疑惑で懲戒処分を受け、離党して「改革新党」を立ち上げた。25年6月の大統領選では「保守の一本化」を拒否、保守の新たな受け皿づくりを行っている。
劉承★(ユスンミン)氏は朴槿恵政権で与党の院内代表を務めた人物で、「選挙で勝てる政策保守のモデル」と裵氏は評価している。だが、国民の力は劉氏を受け入れなかった。彼は政界とは一線を引いて大韓体育会会長を務めているが、次期大統領選への意欲も示す。
裵氏の分析を見ると、保守を再招集して、国民の力の大統領候補にのし上がっていく人物はまだ見えないということになる。裵氏は「全保守の大統合は過去回帰ではない。保守の再設計だ」と説く。「尹アゲイン」と言って過去に戻るのではなく、外縁拡張ができる保守の再結集が必要だということだ。
「保守陣営が自ら連合と調整を通じて内部対立を解決する姿を見せた時、中道層はこれを政治的成熟の信号とみて受け入れる可能性が高い」
6月の地方選挙を保守陣営、国民の力がどう戦うか、韓国民は注視している。
★=日へんに文






