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自・維・参を「こわい日本」目指す党と分類し謝罪したMBS

毎日放送(MBS)社屋
大阪・毎日放送(MBS)社屋

SNSで即座に炎上

 特定政党や候補者に不利または有利になるような、マスコミの偏向報道や印象操作は選挙のたびに問題となる。それでも、選挙期間中に放送局の社長が謝罪する羽目になることはまれだが、今衆院選でそんな事態が発生した。

 毎日放送(MBS)はTBSを中心とするJNNネットワークの近畿地方準キー局。大阪で「4チャンネル」として親しまれている同局に報道・情報番組「よんチャンTV」がある。月曜から金曜(午後3時40分から7時)まで放送中の、同局の看板番組である。

 同局社長が1月29日に行った記者会見で、番組(22日放送)の衆院選報道で自民・日本維新の会・参政の3党を「強くてこわい日本」を目指す政党と表現したことは「非常に不適切」だったと謝罪した。関西ローカルの番組だが、謝罪会見は全国紙に載って日本中に知れ渡った。

 「強くてこわい日本」と聞けば、共産主義かファシズムの国を思い浮かべる人が多いだろうから、そんな党だと言われた側からすれば、印象操作を通り越し「悪質な偽情報発信だ!」と抗議が来るのは必定だ。

 ネット時代、この手のミスはSNSに即座に動画付きでアップされ炎上する。それらをチェックすればおおよその全体像は把握できる。そこで分かったことは次のようなものだ。

維新・参政、怒り露わ

 番組は一枚のフリップを提示した。そこには、各政党の公約などから「有権者の判断軸」として「優しくて穏やかな日本」と「強くてこわい日本」の二つに分け、前者には中道改革連合・国民民主・共産・れいわ」、後者には「自民・維新・参政」を入れていた。

 その説明として、アナウンサーは「われわれが求める日本は、優しくて穏やかな日本なのか。強くて周りから怖いと思われるような日本を目指しているのか。ここが一つの判断軸になってくる」と述べた。それを聞けば「強くて……」の意味は周囲の国から侮られないような国の意味だと分かるが、それならフリップにそう記すべきで、番組に落ち度があったのは明らかだ。

 そうでなくても、政党を「優しく」と「強く」の二つに分類すること自体が乱暴過ぎ、何らかの意図があるのではないかと勘繰られても仕方がない。系列にあるTBSの「報道特集」は偏向報道していると参政党から抗議を受けていることも炎上を煽(あお)ったのかもしれない。

 たぶん抗議の電話が入ったのだろう、放送中に「誤解を招く表現があった」と詫(わ)びたが、一度出したフリップは消すことができない。

 「こわい日本って。なんですかこれは」と、維新共同代表の藤田文武がX(旧ツイッター)にポストすれば、参政代表の神谷宗幣も「謝罪して済む話ではない。誤解をまねく?いや意図的ですよね」と怒りを露(あら)わにした。それで社長が謝罪する羽目になったというわけだ。

言葉の使い方に甘さ

 なぜお粗末なフリップを作成したかといえば、そこには一人のジャーナリストの存在があったからだ。TBS「サンデージャポン」にも出演し「国会王子」の愛称で知られる元TBS記者、武田一顯(かずあき)だ。番組は武田への事前取材を基に、政党を「優しく」と「強く」の二つに色分けしたのだった。

 ただ、武田は取材の際、「強くてこわい日本」は「中国・ロシア・北朝鮮という軍備増強に余念のない国から見て手強(てごわ)く簡単に侮れない日本」という意味で用いた表現で「(番組スタッフとの)コミュニケーションで不足があったと反省している」と、ユーチューブチャンネルで釈明した。

 武田の意図としてはその通りだろうが、この釈明にも疑問を呈する動画がアップされた。番組にリモート出演した武田自らが「強くてこわい日本」と発言する場面の切り取り動画だ。その前後で「他国から侮られない日本」と説明していたのかもしれないが、SNS情報は瞬く間に拡散するから恐ろしい。大阪のノリを意識したわけではないだろうが、武田に言葉の使い方で甘さがあったのは確かである。(敬称略)

(森田清策)

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