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外国人問題 共生前提の読売、疑問視の産経、市民の体感治安無視の朝日

不法移民のイメージ
不法移民のイメージ

“功績”大きい参政党

 「外国人」を巡って読売と産経が年頭から連載を組んでいる。読売は3日付から「共生のかたち」(~9日付)、産経は1日付から「日本を守れるか 『移民』と日本人の現場から」(~9日付)をいずれも1面から中面見開きへと展開し、「外国人」を今年最初のキャンペーン記事に据えた。毎日は昨年来、「移民と社会」と題する不定期記事を載せ、朝日は9日付で埼玉県川口市の「クルド人問題」を扱っている。政府の外国人政策に関する有識者会議は今月中に提言をまとめる。これは今年の主要な論議テーマとなろう。

 朝日「日本に暮らす外国人への差別や偏見をあおる言説が拡散し、排外主義的な空気が強まっている」(9日付)と決め付けるが、昨夏の参院選で参政党が「日本人ファースト」の一石を投じなければ、こんなキャンペーンはなかったに違いない。その意味で参政党の“功績”は大きい。

 読売と産経はタイトルが記事の性格を端的に物語る。読売は「共生のかたち」と共生を前提にし、産経は「日本を守れるか」と共生に疑問を突き付ける。「正」の読売、「負」の産経といったところだ。

 産経は全1741市区町村長アンケートを実施している(1日付)。それによれば、70%が外国人の急増に伴い地域に何らかの影響が出ていると回答し、このうち76%が良い・悪い影響の「両方ある」と答えている。「重視する対応施策」については「住民との共生推進」を挙げた自治体が1214(複数回答)で最多を占めたとし、「裏を返せば、それだけ『共生』が難しいことの証左でもある」(9日付)と指摘している。

深掘りをしない読売

 一方、読売は「『在留』拡大395万人 人口の1割 現実味」「犯罪・トラブル 不安の声」(3日付)とするが、それらは深掘りせず、外国人労働者に依存する経済団体の「代弁」の趣がした。読売には産経の「裏を返せば」の視点が欠落している。9日付で韓国の「融和」努力を紹介し、ソウル近郊の都市で韓国人と外国人が「防犯隊」を結成している事例を挙げるが、地元調査機関の2023年アンケートによれば、市民の67%が外国人の増加に「否定的」「非常に否定的」と答えている。なぜ7割近くの市民が否定的なのか、融和というが「裏を返せば」防犯隊を設けざるを得ない実態があると思われるが、読売は深掘りしない。

 朝日の埼玉県川口市のクルド人を巡る9日付記事には呆(あき)れるほかなかった。「『治安が悪化』―根拠はSNS 外国人巡りあおられる不安感」と、まるでクルド人による治安悪化がSNS上の「作話」のように書いているからだ。X(旧ツイッター)の人工知能(AI)分析を紹介するが、市民の「体感治安」を完全に無視している。

朝日も分析をスルー

 記事には「2025年の意識調査では『市の良くないところ・嫌いなところ』を市民に尋ねると、『治安が悪い』は過去最多の54・1%だった」とあるが、過去最多の分析はスルー。また「(市内で)24年に検挙された人は1181人で、このうち外国人は191人。国籍別は中国59人、ベトナム53人、トルコ36人。検挙された人の人口に占める割合を計算すると、日本人を含む市全体は0・2%、市内のトルコ籍の人は2・4%」とするが、記事は続けて「こうしたデータの見方は様々にある」とここでも分析をスルーし、「ただ、その評価とは別に、ネットや現実社会で不安感は過剰にあおられている」と話を逸(そ)らす。トルコ籍(クルド人)の犯罪率2・4%(市全体の0・2%に対して12倍)の現実を見据えず、何故に治安悪化の根拠をSNSと断じるのか、理解に苦しむ。

 そのくせ10日付社説は「(メディアも、SNSで発信する個人も)不完全な私たちが互いに『自分こそ100%正しい』と思い込んでいては分断は広がるばかりだ。対話の橋をかけ、輿論を編んでいきたい」と、しゃあしゃあと言ってのける。今年も朝日は二枚舌を見せてくれそうだ。

(増 記代司)

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