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混迷深める来年の世界動向を各誌予測、「カギは米中」とダイヤモンド

世界の貨幣
世界の貨幣

欧米の連携が脆弱化

 一年が終わる師走の半ばを過ぎると各経済誌はこぞって新年の経済予測を特集する。一年を振り返りながら新しい年を占っていくわけだが、週刊東洋経済、ダイヤモンドは経済分野に限らず社会、エンタメといった範囲にまで及ぶ。

 もっとも、今年は趣向がちょっと変わったようで、東洋経済は一度に特集を組むのではなく、年末・年始にまたがって3回に分けて特集を組む。また、ダイヤモンドは国際編と政治・経済・文化編の2回に分け、それ以外に保存版として「大予測」(2月号)を出している。一方、エコノミストは例年通り2週にわたって日本経済、世界経済をテーマに特集を組んだ。

 そこで今年一年を経済各誌はどのように見ていたのであろうか。東洋経済は次のように綴(つづ)る。「アメリカの民主主義の危機、ウクライナ戦争をめぐるアメリカとヨーロッパの危機、中ロの接近―。2025年は、戦後の世界秩序が崩壊した年だった」(12月20日号)。

 ダイヤモンドは今年6月16日からカナダで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)を挙げて、「トランプ大統領が閉幕を待たずに帰国、包括的な首脳宣言の見送りなど、異例の展開で各国の不一致が顕在化したものとなった。G7の存在意義が問われる事態」と言及。「アメリカファースト」を掲げる米国の指導力が減退し、加えて欧米の連携が脆弱(ぜいじゃく)化することで世界経済の混乱ぶりが顕著になった一年だったと分析する。

焦点は米国中間選挙

 この流れを受けて来年の世界の動向については、東洋経済はまず米国に対しては「『トランプ劇場2年目』最大のヤマ場は11月の中間選挙だ。仮に共和党が敗北すれば内戦が起きると予測する識者さえいる。…(さらに)米国の世界への統治能力への疑念は高まり、世界の警察としての役割はさらに後退するだろう」と指摘。内戦が起こるとは思われないが、米国第一主義を唱え内向きになれば米国の影響力が低下するのは必至の見通し。

 一方、ロシアに対しては「戦時経済の勢いが減速し経済疲弊が鮮明になる」「今や生命線を完全に中国に握られた。民生品から半導体まで中国の輸入なしでロシアは立ち行かないからだ」と同国の困窮を説明する。

 ウクライナ戦争が始まって26年2月で4年が経過する。第2次世界大戦でさえ4年余りの歳月を戦っていた。ウクライナにしてもロシアにしても経済が疲弊するのは当然だ。そこでウクライナ戦争は来年終わるのか、ということだが、これについてダイヤモンドは次のように述べる。

 「プーチン氏は、『紛争の根本原因の除去』が実現されない限り、和平には応じないと繰り返している。つまり、最終的に目指しているのは『ウクライナの属国化』なのだ」(兵頭慎治・防衛研究所幹事)とし、さらに「仮にトランプ停戦に応じたとしても、それは一時的な戦力回復のための時間稼ぎでしかない」(同)と論評し、戦争の長期化を予測する。ただ、ロシアの中国依存が高まれば高まるほど中国の発言力が強まり、アジアへの覇権力が高まっていくことにも言及。結局、米中がカギを握る一年になりそうだ。

物価はさらに上昇か

 一方、国内問題に目を移せば、景気動向もさることながら物価動向が気になるところ。デフレからインフレ経済に移行した日本だが、その要因の一つに、ウクライナ戦争による穀物価格などの高騰がある。戦争が長引けば、穀物の価格下落は望めない。さらに「(円安による)原材料費や人件費高騰を原因とするいわゆるコストプッシュ型インフレの側面がある」(エコノミスト)ため物価は高止まったまま、賃金上昇を受けて物価はさらに上がる可能性がある。

 折しも高市政権下において、台湾有事を巡った発言でわが国の最大の取引先である中国との間で軋轢(あつれき)が生じている。その影響が少なからず日本経済に与えることも考えられる。だからといって台湾有事に対する高市早苗首相の正論を曲げることはできない。そういう意味では26年は日本にとって対内的にも対外的にも正念場を迎える。

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