読売は成長投資評価
高市政権初の総合経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案の審議が、国会で始まった。
総合経済対策に対する各紙の論評は、本紙を除き総じて厳しいものだった。社説見出しを列挙すると、11月22日付読売「これで物価高克服できるのか」、毎日「規模で生活不安拭えるか」、東京「暮らし救済期待できぬ」、23日付朝日「『責任なき積極財政』か」、産経「大盤振る舞いに懸念残る」、日経「『民間が先頭』の経済に戻せる対策か」、24日付本紙「家計、投資重視を評価する」――。

読売は危機管理・成長投資などに7・2兆円を計上したのは「評価できる」とし、防衛費の前倒しなどに1・7兆円を充てるのも「妥当であろう」と評価した。トランプ米政権の高関税政策でサプライチェーン(供給網)が寸断される一方、中国は「経済的威圧」をやめようとしないことから、「経済安全保障の観点から、生産網を強化することは急務である」からだ。
もっとも、同紙の評価はこれらの点だけで、「効果の見極めと支援対象の絞り込みが不十分な、バラマキ的な内容が並んだ」ことを「問題」とした。コロナ禍前の補正予算では数兆円だったのに、今回は「経済危機の状況でもないのに、あまりにも過大である」とも批判する。
例えば、「おこめ券」には「一時しのぎにすぎず、かえって価格低下を遅らせるのではないか」とし、子供1人当たり2万円の給付については「理解しがたい」と評した。
しかも、財政悪化の懸念から、市場では円安が進み、長期金利も上昇している。読売は「食料品などの価格が高止まりしている原因は、過度な円安が大きい。人手不足で供給面の制約がある中、歳出を増やせば物価高を助長する恐れがある」と懸念する。
批判だらけの朝毎東
他紙の批判もほぼ同様。毎日や東京、朝日は批判しかない。毎日、朝日は読売が評価した重要産業への大型投資をも「効果が疑問視されている」「投資先は半導体や造船など国際競争に取り残されてきた業種が目立つ」(毎日)などと問題視するが、そこには経済安全保障の観点がない。
産経は「日本経済は長期デフレを脱して成長型経済へと移行できるかの岐路にある。だからこそ、財政で経済再生を後押しするという高市首相の狙いはうなずける」としながらも、「そうであっても大盤振る舞いが過ぎないか」と批判し、「責任ある積極財政」に徹すべきであると注文を付ける。
ただ、そうは言っても、「一連の手厚い対策が物価高抑制にどれほど有効かは冷静にみたい」と期待をにじませる。この辺に本音がありそうだ。
日経は、株価が最高値圏で推移する経済の現状を踏まえると「規模もタイミングも異例」で「緊急性よりも規模を優先した印象は否めない」と指摘。対策に盛った物価高対応には物価高を助長しかねない政策も含まれているとして、「財政には予算の制約があり、所得支援策は的を絞る必要がある」と注文を付ける。
本紙は円安介入指摘
成長投資については、政府の役割は民間企業の潜在的な投資余力を引き出すことにあるべきだと説き、「経済の潜在成長力を高めるけん引役はイノベーション(技術革新)だ」として、「若手研究者に対する科研費の大幅拡充や企業の研究開発投資を促進する税制改正による民間主導の経済復活に期待したい」とした。
日経が唯一「懸念される」としたのは、「責任なき積極財政」に陥るリスク。高市政権が歯止めとした「政府債務残高のGDP比引き下げ」では「不十分」とみるためだ。
本紙は「強い経済への第一歩は、個人消費の回復である」として、物価高対策での手厚い措置を評価。日経が懸念した政府債務残高のGDP比引き下げについては、そのメリットをより丁寧に市場に説明する必要があろうとし、急激な円安進行には「為替介入もやむを得ない」とした。介入に言及したのは本紙のみだ。
(床井明男)






