先陣切る共同・石井氏
スパイ防止法制定の機運が高まってきた。先の参院議員選挙で同法制定を訴えたのは自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党、保守党で、これら与野党の得票率(参院比例区)は全体の6割を占めた。先の党首討論で高市早苗首相は「今年、検討を開始して速やかに法案を策定することを考えている」と明言した。
こうした流れに左派紙はスパイ防止法潰(つぶ)しに躍起だ。高市氏の自民党総裁就任直後に時事通信のカメラマンが「支持率下げてやる」「支持率下げるような写真しか出さねえぞ」と話し、報道の中立性が疑問視されたが、スパイ防止法を巡っては共同通信の編集委員が同法潰しの先陣を切っている。
それは共同で自衛隊や防衛省取材を担当してきた石井暁氏だ。10月2日に参議院会館で開かれた社民党系の「スパイ防止法反対緊急院内集会」で左翼弁護士の海渡雄一氏と共に講演し、「日本が台湾有事に参戦できるための切り札になる可能性がある」「ジャーナリズムが権力を監視するのを妨げる危険性が極めて強い」などと同法の「危うさ」を語り、反対運動をけしかけた(社民党機関紙「社会新報」ネット版10月17日付)。
これと歩調を合わせるかのように神奈川は同2日付社説で「スパイ防止法 再燃の動き警戒したい」と反対論をぶち、東京が10月27日付で「危うい兆候見過ごせぬ」、信濃毎日も同日付で「戦時体制を再来させるな」と続いた。
毎日は11月29日付社説「必要性への疑問が尽きぬ」で、「警察当局などによる市民への監視の網が広がる」「時の政府の判断で、恣意(しい)的に運用される恐れ」「際限なく個人情報が収集される可能性」をあげつらった。どれもこれも金太郎飴(あめ)のような反対論だ。
極め付きは朝日記事
極め付きは朝日である。12月5日付2面の全面(広告を除く)を使った「時時刻刻」欄で「スパイ防止法 競う与野党 危うさ抱え 首相前のめり 政権内に慎重論も」と、前掲の社説がよく使う「危うさ」「慎重」の文言を大きく掲げた。同記事で驚かされたのは自民・維新、国民民主、参政党の「“スパイ防止法”をめぐる考え方」の図表だ。赤文字で「懸念されるリスク」と書き、赤地に白抜き文字で「!政府による情報統制」「!取り締まりの対象拡大・強化」「!憲法が保障する『通信の秘密』『表現の自由』の侵害」と、「!」(感嘆符)を並べ立てた。手の込んだ「角度」(朝日的独自解釈)の付けようである。
こうした左派紙社説でお気付きのように、彼らはスパイ防止法のリスクを語っても(それも拡大解釈、虚報の類いだ)、肝心のスパイ野放しのリスクについては一言も語らない。本紙シリーズ「スパイ防止法制定 公約化される背景」「待ったなし!スパイ防止法」が浮き彫りにするスパイ放置の危険性から目を逸(そ)らしている(一体、誰のための新聞なのか)。これこそ平和と安全を脅かす「危うさ」である。
警鐘鳴らす北國社説
これに対して石川県紙の北國新聞が11月8日付社説「スパイ防止法 宇出津事件の無念を教訓に」でスパイ活動に警鐘を鳴らしている。同事件は1977年9月、能登半島の宇出津(うしつ)海岸から東京・三鷹市役所警備員の久米裕さんが北朝鮮のスパイ工作員によって拉致された、政府認定の最初の拉致事件だ。当時、警察当局が一網打尽の捜査網を敷いたが、北の工作船を見逃したばかりか、スパイ防止法がないので容疑者を罪に問うことすらできなかった。治安当局には痛恨の事件だった。
この直後、同10月に松本京子さん拉致(鳥取県)、11月に横田めぐみさん拉致(新潟県)が起こっているだけに「もしスパイ防止法があったら、被害の拡大を防げたかもしれない」(北國社説)のだ。地方紙の多くは共同の左がかった「論説資料」の影響からか、地元の拉致事件を顧みない。スパイ事件を語らぬ新聞記事を真に受ければ、命も家族も祖国も失ってしまう。国民はそう自覚すべきだ。
(増 記代司)






