今季も鳥インフルエンザが全国各地で発生し、既に100万羽以上の鶏が殺処分された。養鶏業者は鶏舎に防鳥ネットを張り巡らせ、野鳥や野生動物が入らないようにするなどの対策を講じているが、感染を完全に防ぐことはできない。2022年秋から23年春のシーズンは、採卵鶏の殺処分数が過去最多の約1654万羽に上るなど大きな被害をもたらした。
一方、自民党機関紙「自由民主」11月25日号は、畜産動物を巡るもう一つの脅威を紹介している。5面の「迫るアフリカ豚熱 一人一人が対策を」という記事だ。
アフリカ豚熱(ASF)は、豚やイノシシが感染することで発熱や全身の出血性病変などの症状が出る伝染病。強い感染力とほぼ100%に及ぶ高い致死(ちし)率が特徴だ。「自由民主」は「平成30年に中国に侵入後、アジア各国にも拡大しました。これまでわが国と台湾では発生していませんでしたが、10月に台湾で初めてとなる感染が確認。アジア圏で本病の発生例がない清浄(せいじょう)国はわが国のみとなりました」と強い危機感を示した。
有効なワクチンがないため、発生した場合は速やかな殺処分が義務付けられている。「自由民主」は「養豚産業に甚大(じんだい)な損害を与えるだけでなく、豚肉の価格が高騰する等、消費者にとっても大きな影響を及ぼす可能性があります」と警鐘を鳴らしている。
総務省が今月21日発表した10月の全国消費者物価指数(20年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が112・1と前年同月比3・0%上昇。鳥インフルによる殺処分で供給が減少したため、鶏卵は13・6%上がった。ASFが発生すれば同様の事態が生じるだろう。
ASFウイルスは、精肉やハムなどの加工品で3カ月から1年近く、冷凍肉だと数年単位で感染力を持つとされる。日本では家畜の伝染病を防ぐため、肉や肉製品の海外からの持ち込みを禁止している。海外旅行の際には、家畜が飼育されている農場などに立ち入らないことも求められる。
日本は、やはり家畜伝染病の「豚熱(CSF)」に関しては、国内で感染を封じ込めることができず、既に「非清浄国」となって豚肉の輸出にも影響が出ている。CSF以上に感染力の強いASFウイルスもいつ日本に侵入してもおかしくない状態だ。政府は水際対策を徹底しなければならない。





