トップオピニオンメディアウォッチ立民幹事長インタビュー 「自民の唯一のライバル」と強調 「多党化」で存在感低下 【政党メディアウォッチ】

立民幹事長インタビュー 「自民の唯一のライバル」と強調 「多党化」で存在感低下 【政党メディアウォッチ】

論説解説室長 宮田陽一郎

 立憲民主党の機関紙「立憲民主」10月17日号は、4面に安住淳幹事長へのインタビュー記事「立憲こそが将来を見据えた改革担う」を掲載している。記事には(10月1日取材)とあるので、4日に自民党総裁選で高市早苗氏が選出される直前である。

 安住氏は「衆参合わせて200人を擁し、全国津々浦々を網羅しているのは立憲民主党と自民党だけです」「自民党に追随するのではなく、唯一のライバルとして対抗する」と述べている。7月の参院選で躍進した国民民主党や参政党などを念頭に置いた発言だろう。

 参院選では自民、公明両党の与党が過半数割れとなったが、立民の獲得議席数は22で改選数と同じ。比例代表の得票数は739万票余りで、約762万票の国民民主や約742万票の参政を下回った。野党第1党でありながら政権批判の受け皿となれず、8月にまとめた参院選総括では「事実上の敗北」と認めざるを得なかった。9月に発足した新体制で幹事長に起用されたのが安住氏だ。

 安住氏は「今回の参院選で苦戦したからと言って悲観することは全くありません。旧立憲民主党が結党した17年はわずか50議席だったところから、約10年で衆参200人規模に大成長したのは、国民が自民党に代わる受け皿を求めている期待の表れです」と強調している。しかし立民が野党第1党となったのは、野党の離合集散の結果にすぎず、「国民の期待の表れ」とは言えないのではないか。

 1994年に衆院で小選挙区比例代表並立制が導入されたのは、政権交代可能な二大政党制を実現するためだった。2009年には立民の前身の民主党が政権交代を果たし、有権者の大きな期待を集めたが、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で迷走し、社会保障と税の一体改革を巡って党が分裂するなど政権運営の未熟さを露呈し、信頼を失った。

 下野後は自公政権に対抗するため、「革命政党」の共産党に接近して選挙協力を行った。これが有権者の不信感をさらに強めたことを自覚すべきだ。参院選で「事実上の敗北」を喫した一因でもあろう。

 国会では衆参両院とも過半数を占める政党がなく、「多党化」が進む中で立民の存在感は低下している。「選挙互助会」的な体質を改善し、どのような国家を目指すのかをもっとアピールしなければ党の立て直しは困難だ。

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