「NOスマホデー」を
弊社編集局で雑談をしていたら、テレビから「今日(9月26日)は『世界避妊デー』です」という女性アナウンサーの声が聞こえてきた。長く記者をして恥ずかしい話だが、そんな日があるとは知らなかった。世界で避妊に関する正しい知識を広めることを目的とする記念日だというのだが、どうせ避妊具やピルを売りたいがために、避妊具業界が始めたのだろうと思って調べたら、やっぱりそうだった。
その過程で知ったことだが、9月28日は「国際セーフアボーション(安全な中絶)デー」なのだそうだ。避妊や中絶についての知識は要らないとは言わない。しかし、少子化の中、結果として出産抑制につながる国際記念日があるなら「世界出産感謝デー」こそ必要だろうと思って調べたが、なかった。
そんな記念日を設けようとしても、左翼やフェミニストが「個人の選択に口出しするな」と阻止してくるのは目に見えている。ならば、世界避妊デーにも「余計なお世話だ」と批判すべきだと思うが、そんな声は聞こえてこない。
何事にもつけ世の流れに逆らうことを性分とする筆者が、もう一つ、ぜひ設けるべきだと考えている国際記念日がある。「世界NOスマホデー」だ。電車に乗れば、ほとんどの乗客が小さな画面をのぞき込み、妊婦や高齢者が乗ってきても知らんぷり。周囲の若者に聞くと、スマホを手放すと不安になるから、お風呂やトイレにまで持ち込むのだという。
あくまでも理念条例
まったく妙な世の中になったものだ、と嘆いていた26日夜、BSテレ東の時事番組「NIKKEI NEWS NEXT」がその4日前に成立し、10月1日施行となった愛知県豊明市のスマホ条例を特集した。この問題を議論することは時宜にかなっているが、番組からは「私生活に口出しするな」と言わんばかりに、条例に後ろ向きな捉え方が伝わってきた。なにせ「スマホ規制は景気を冷やす?」という特集のタイトルからして露骨な印象操作である。
冒頭、アナウンサーの女性が「1日から愛知県の豊明市でスマホの利用を1日2時間以内とする条例が施行される。スマホ規制による私たちの暮らしへの影響を考える」と語った。その上、テロップで「スマホ1日『2時間以内』」を映し出し、「規制」を印象付けていた。条例を何度読んでも「規制」と捉えられる内容は見当たらないのに、と呆(あき)れてしまった。
正式名称「豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」は理念条例で、「1日2時間以内」は家庭でスマホを使うルールづくりを促すための「目安」だ。罰則はなく、規則正しい生活ができているのなら、2時間を超えても問題ない、と市が公表した「Q&A」は説明する。
朝日新聞も9月1日付社説で「スマホ規制条例」とした。マスコミが「規制」を強調するものだから、市には反対意見が殺到した。このため、条例の付帯決議は「本条例の本旨や内容について正確に理解されないまま、誤った方向へ一時世論は過熱してしまった」とし「スマートフォン等の利用時間に関する記述はあくまで目安であることを明確にし、市民の生活スタイルや家庭環境に多様性を尊重した運用を行う」と強調している。
広告主への忖度疑う
番組には、条例についての正確な説明も欠けていた。現在、1日2時間以上のスマホ使用者が7割以上に達していることを示す調査結果を紹介した後、出演した識者は「学習に活用したり、健康管理や音楽プレーヤーとして使っている人がいる中、ちょっと的外れかな」と語った。しかし、学習や仕事以外の余暇時間の中での2時間以内だという説明は行わなかった。こんな印象操作を行うのは、広告主であるスマホ業界への忖度(そんたく)ではないか、と筆者は疑っている。
ルールづくりの目安として1日2時間以内を提示しただけで「規制」だ、「景気を冷やす」と騒ぐのだから、筆者が期待する「世界NOスマホデー」にはマスコミ総掛かりで反対してくるのは明らかだから、日の目を見ることはないと諦めている。
(森田清策)






