トップオピニオンメディアウォッチ大量の難民流入への対応に苦慮する英国、地元住民は治安の悪化を懸念

大量の難民流入への対応に苦慮する英国、地元住民は治安の悪化を懸念

欧州は「明日の日本」

国際協力機構(JICA)のナイジェリア、モザンビークなどアフリカ4カ国と国内4市の人的交流を推進する「ホームタウン」事業を巡り、「移民が大量に押し寄せる」などの不安がSNSで拡散され、住民から不安の声が上がった。市役所には問い合わせ、抗議の電話が殺到したというが、昨今の外国人によるトラブル、犯罪報道を見ていれば、当然の反応だろう。

だが、アフリカ、中東などから大量の難民が押し寄せた欧州では、日本とは比べ物にならないほど大きな問題が、以前から起きている。外国人の受け入れに積極的な日本政府だが、欧州の現状を見て「明日の日本」と危惧する声もSNS上で散見される。

英国では英仏海峡を通じて年間、数万人の難民が小舟などで上陸している。英BBCによると、今年に入ってからだけでも2万8000人に達した。危険な入国の試みによる死者も絶えない。昨年は少なくとも82人が死亡、今年は8月11日までの時点で少なくとも20人に上るという。

入国した難民の3分の1ほどが、難民審査の決定が下されるまで、政府が借り上げている全国のホテルに一時的に収容されている。スカイ・ニュースなどによると、その数は6月時点で約3万2000人で昨年から8%増加、200件以上のホテルが収容先に使用されている。

この問題を巡って収容に反対する地元住民らが抗議デモを行うなどの新たな問題が生じている。

英紙ガーディアンによると、8月30日、政府はエッピング・フォレスト地区議会による、亡命希望者130人をベルホテルから退去させる差し止め命令に対する控訴審で逆転勝訴した。「ここ数週間、ホテルは度重なる抗議活動の焦点となっており、その一部は極右過激派によって組織され、暴力的になっている」という。

スカイ・ニュースによると、ホテルへの収容は他の収容方法よりも6倍もコストがかかり、1人当たり1日170ポンド(約3万3000円)、毎日11億円近い税金が投入される計算だ。

移民反対政党が急伸

移民問題は政界にも影響している。強まる反発に危機感を持ったスターマー労働党政権は、難民のホテル滞在を、来年春までの今議会の会期中に終わらせることを約束しているが、実現のめどは立っていない。ガーディアンによると、移民反対を訴える右派新興政党リフォームUKへの支持率がこの春以降一貫してトップで、「英字紙アイの最新の世論調査で同党は35%と、与党労働党を15ポイント上回っている」という。

さらに、難民と地元住民との小競り合い、文化の違いによるトラブル、難民による犯罪という問題も起きている。

住民にとって何よりの不安は治安の悪化だろう。

「抗議活動は週末を通して続く予定で、30日、約200人が(英中部)ストックポートのホテルの外に集まり、『子供たちを救え』と銘打った抗議活動を行った。多くの人が聖人セントジョージの旗やユニオンジャックを身にまとっていた」

デモを呼び掛けた退役軍人で電気技師のウェイン・ベントレー氏は、ガーディアンに「ストックポートの人々に、私たちの子供たちがストックポートの路上で安全ではないことを伝えるために、誰かが立ち上がって何かをしなければならなかった」と語っている。

仏独でも摩擦絶えず

大量の移民を抱え、文化・宗教摩擦が絶えないフランスでも、移民によるある事件が波紋を呼んだ。

AFP通信によると8月4日、パリにある、無名戦士の墓の「追悼の炎」でたばこに火をつけたモロッコ国籍の男が逮捕された。ルタイヨー内相は永住権の剥奪を訴えていたが、「即決裁判により、禁固3月の執行猶予付き判決」を受けている。動画がSNSで拡散され、仏国内で強い反発を招いていたという。

文化、宗教などの異なる背景を持つ移民・難民との共存がいかに難しいかを示す事例は、中東から労働力として大量の市民を受け入れてきたドイツでも同様だ。

日本政府は欧州の教訓から学ぶべきではないのか。

(本田隆文)

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