論説解説室長 宮田陽一郎
自民党機関紙「自由民主」には1面に「幸響」というコラム欄がある。8月26日号では党新聞出版局次長の加藤竜祥衆院議員が「『国境離島』を守る!」と題するコラムを掲載している。
「私の地元である長崎県は日本一離島が多い県である。壱岐・対馬・五島をはじめとする国境離島は、日本の領海・排他的経済水域(EEZ)を実効的に維持する最前線に位置する。こうした地域に人が住み、社会が営まれていることが、わが国の主権と国益を支えている」
国境周辺に位置する離島の地域社会を維持・発展させるため、2017年4月に施行されたのが有人国境離島法(有人離島保全特別措置法)だ。中国の海洋進出や外国資本による離島の土地買収が進む中、国が土地の買い取りや行政機関の設置、港湾整備などに努めるよう定め、特に支援が必要な「特定有人国境離島地域」として8都道県計71島を指定している。10年の時限立法で27年3月に期限を迎えるため、加藤氏は「延長・拡充は喫緊の課題」と強調している。
有人国境離島が無人化すれば、周辺諸国によって主権や権益が侵害される恐れもある。かつて尖閣諸島(沖縄県石垣市)には200人以上が居住し、かつお節工場などもあったが、1940年ごろには無人島となった。現在は中国が不当に領有権を主張し、周辺で中国海警船が領海侵入を繰り返している。国境離島に住む人々の生活を支えることは、安全保障の観点からも重要だ。
長崎県の地元メディアによると、特定有人国境離島地域に指定されている対馬、壱岐島、五島列島では、有人国境離島法施行後の8年間で890件の創業・事業拡大を採択し、1658人の雇用を生み出した。離島の振興に向け、有人国境離島法の延長や支援強化を求めたい。
日本には特定有人国境離島地域以外にも重要な島が多くある。その一つが、日本最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)だ。EEZの基点となる島だが、中国は国連海洋法条約上、EEZや大陸棚を設定できない「岩」に当たると主張している。日本の権益を損なうとともに、西太平洋地域の覇権確立に向けて周辺海域への影響力を強める狙いがあるだろう。今年6月には中国空母が演習のため、沖ノ鳥島のEEZ内を航行した。沖ノ鳥島の管理も強化すべきだ。






