トップオピニオンメディアウォッチ戦後80年と政党機関紙 被爆者と対話した「立憲民主」 平和安全法制扱う「公明新聞」

戦後80年と政党機関紙 被爆者と対話した「立憲民主」 平和安全法制扱う「公明新聞」

論説解説室長 宮田陽一郎

毎年8月になると、先の戦争についての報道が盛んになる。特に今年は戦後80年ということで、各党機関紙もさまざまな形で平和を守る方策を論じている。

立憲民主党の機関紙「立憲民主」8月22日号は「ノーベル平和賞と被爆80年」をテーマに、広島が地元の森本真治参院議員と東克哉衆院議員が、昨年のノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表委員、箕牧智之氏と対話した内容を掲載している。

箕牧氏は自身の被爆体験について「8月6日、爆心地から17キロほど離れた自宅前で遊んでいたら、ピカっと光ってね」「その日の午後、髪がぼさぼさで服がボロボロの人たちが『水をくれ』と言いながらぞろぞろ歩いてくる姿が見えました」と語っている。その上で「80年間、使われなかった核兵器をこれから先も一発たりとも使わせてはなりません」と訴えた。悲惨な体験をした被爆者の言葉には、重いものがある。

ただ、森本氏が「核兵器を肯定するような政党が今回の参院選で支持を集めたのは深刻な事態です」と述べているのはいかがなものか。これは、安全保障政策を巡って「核武装が最も安上がりであり、最も安全を強化する策の一つだ」と主張した参政党の候補を念頭に置いた発言だろう。

しかし中国やロシアの核の脅威が高まり、北朝鮮が核・ミサイル開発を進める中、「核武装」はともかく、核抑止力の重要性を強調する候補が当選したのは、安全保障の強化を求める民意を反映したものだと言えよう。核抑止力を軽視すれば、ロシアに侵略されたウクライナと同様の新たな悲劇を招くことになりかねない。

残念ではあるが、核廃絶を今すぐに実現することは極めて困難だ。核を「一発たりとも使わせ」ないためには、日本としては当面、米国の「核の傘」提供を含む拡大抑止の強化などに努めざるを得ない。

公明党機関紙「公明新聞」は「終戦の日」の15日を前後して「戦後80年『平和の党』の旗高く」を上中下で連載。15日付の中では「日米同盟強化し抑止力を向上 平和安全法制で国民守る」という見出しで、2015年9月に成立した平和安全法制(安全保障関連法)について「国民の命と生活、財産を守っていくには、日本の安全保障の基軸である日米同盟を強化し、抑止力を高めることが不可欠。そのために、公明党が推進、実現した」と書いている。

一方で「憲法9条の下で許される自衛の措置について、武力行使は日本の存立を脅かす明白な危険がある場合に限定する『新3要件』を規定」としている。だが、憲法9条に基づく抑制的な防衛政策で平和を守り続けることができるだろうか。

近い将来、中国の侵攻による台湾有事が発生するとの指摘も多い。「台湾有事は日本有事」と言われる中、日本は防衛費の対国内総生産(GDP)比2%への引き上げや反撃能力(敵基地攻撃能力)の導入などを進めている。ただ日米同盟を巡っては、トランプ米大統領が「片務性」に強い不満を示している。現在は一部容認の集団的自衛権行使を全面容認して日米が互いに守り合う関係を築き、同盟を強化するには憲法9条の改正が欠かせない。

日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」の8月15日付「主張」は「歴史が教える軍事同盟の危険」という見出しで、かつての日独伊三国同盟などを挙げて「戦争へと道を誤らないためには軍事同盟から手を切るべきです」と述べている。しかし日米同盟を廃棄すれば、力の空白が生じ、かえって戦争の危険が高まることになるだろう。

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