農水省「不足」認める
6日付読売「増産への決断を評価したい」、7日付日経「コメ増産の実現に向け明確な方策示せ」、東京「生産力の再生が必要だ」、11日付朝日「増産の実現へ道筋示せ」、13日付産経「安定供給へ基盤の強化を」――。
政府が関係閣僚会議で、事実上の「減反」で生産を調整してきたコメ政策を抜本的に転換し増産にかじを切る方針を示したことを受けて、各紙が論評を掲載した社説の見出しだ。毎日、本紙はなし。
掲載が最も早かった読売は、「石破首相が政策転換を決めたことは評価できる。意欲ある農家の増産を後押ししてほしい」と前向きに捉え、農林水産省が価格高騰の要因として生産不足を認めたのも「前進」とした。
改革方針は増産に向け、まず耕作放棄地の拡大を食い止める政策に力を入れ、今後は輸出の拡大に全力を傾けるほか、先端技術を活用するスマート農業を推進し、農地の集約化などで大規模化も進める。
同紙はこれに対しても、「いずれも政策の方向性は妥当である」として、「これからは、食料安全保障の観点を踏まえ、コメだけでなく、大豆、麦などの生産強化も、総合的に考えていく必要があろう」とした。
確かにその通りなのだが、他紙に比べて方向性の評価にとどまり、甘さが拭えない。
例えば、日経は読売と同様、「抑制から増産に転じる決断を評価したい」とする一方で、「課題はどう実現するかだ」と強調。読売が評価したスマート農業の導入や農地の集約化による大規模化については、「効率の向上には役立つが、生産量の増加にどれだけ結びつくかは不透明だ」と疑問を呈する。
離農防止へ所得補償
かくいう日経が「取り組むべき」と訴えるのは、主食米の生産を抑制するための転作奨励金の見直しだ。「飼料米の助成はとくに手厚く、田んぼで作りやすいこともあり、効果を発揮してきた。その縮小を検討してほしい」というわけで、対策も具体的だ。
増産によりコメの価格が下落し過ぎると離農が相次ぐ恐れがある。読売は「改革の方向性を前提とし、農家の所得補償のあり方も検討を進めていくべきだ」としたが、日経も「一定額の所得補償の導入や収入保険の拡充は検討に値する」と強調。「長く続いた米価の低迷が離農や耕作放棄を招いたことを踏まえれば、セーフティーネットの充実は不可欠だ」とした。同感だ。
読売の甘さに戻る。農水省が価格高騰の要因として生産不足を認めたことを同紙が前進としたことは前述したが、さらに「価格下落を招かぬよう生産者への配慮が強すぎたのではないか。消費者目線を欠き、備蓄米の放出の遅れなど対応が後手に回ったことは反省せねばなるまい」と記す。
これに対し、日経は「責任は重い」、東京も「看過できない」とした。特に厳しいのは朝日で、「需給の両面で実態把握が不十分だったのに、『コメは足りている』と誤った説明を繰り返し、備蓄米放出の判断も遅れた。根拠に乏しい不確かな情報を発信して米価の上昇を招き、家計を圧迫した責任は重い。猛省してほしい」と強調する。
安定供給へ課題山積
さらに「情報収集力や分析の甘さだけの問題か。…後手に回った対応の検証を深めたい。正確な統計の整備も喫緊の課題だ」と指摘した。統計の整備は朝日だけでなく、日経や東京も求めており、その通りだろう。
読売の甘さがことに感じられるのは、「国民への主食の供給を安定させるため、政府には増産を着実に軌道に乗せる責務があ」(日経)り、かつ、「増産の実現には課題が山積み」(朝日)なのに、そうした言及に乏しいからだ。
コメ農家の高齢化や深刻な後継者不足の下で、「増産に積極的な担い手をいかに増やせるか」(産経)。4紙が見出しに取ったように、増産・安定供給への基盤強化、その実現への方策、道筋が大事ということだ。
(床井明男)






