トップオピニオンメディアウォッチ各党の参院選報道 与党過半数割れ、立民勢い欠く 国民民主、参政が躍進

各党の参院選報道 与党過半数割れ、立民勢い欠く 国民民主、参政が躍進

報道各社の取材を受ける石破茂首相=20日午後、東京・永田町の自民党本部
報道各社の取材を受ける石破茂首相=20日午後、東京・永田町の自民党本部

論説解説室長 宮田陽一郎

第27回参院選の投開票が20日に行われ、自民、公明の与党が非改選と合わせても過半数割れとなった。一方、国民民主党や参政党は議席数を大きく伸ばした。

改選52議席の自民は39議席にとどまった。機関紙「自由民主」は党ホームページ上に21日付で「極めて厳しい国民からの審判が下りました」とした上で、石破茂総裁(首相)が「選挙結果を踏まえ、比較第一党としてわが党が引き続き政権を担う姿勢を示しました」と報じた。

石破氏は自身が首相を続ける意向を表明している。しかし昨秋の衆院選でも与党過半数割れの大敗を喫し、今年6月の東京都議選も過去最低の21議席しか獲得できなかった。今回の参院選で3連敗だ。

石破氏には衆院で少数与党でも政策ごとに野党と連携する「部分連合」で先の通常国会を何とか乗り切ったという「自信」があるのかもしれない。しかし衆参両院の与党過半数割れで首相の座に居座るのでは、何のために選挙で有権者の審判を仰いだのか分からない。石破氏は選挙結果を受け入れ、辞任すべきだ。

改選14議席の公明は選挙区7議席・比例代表7議席を目標としていたが、結果は選挙区4議席・比例4議席で過去最低の8議席に終わった。参院選の選挙区で全勝を逃すのは2007年以来18年ぶり。機関紙「公明新聞」は21日付1面で「愛知・安江伸夫氏、埼玉・矢倉克夫氏、神奈川・佐々木さやか氏は最後まで追い上げたものの、善戦及ばず惜敗した」と無念さをにじませた。支持母体・創価学会の会員の高齢化による集票力の低下に歯止めがかからないようだ。

改選7議席の日本共産党は3議席と半減させた。機関紙「しんぶん赤旗」は21日付1面に「共産党 比例2議席、吉良氏3選」の見出しを掲げ、東京選挙区で現職の吉良よし子氏が当選したことを強調。また「市民と野党の共闘では、秋田の寺田静、岩手の横沢たかのり、宮城の石垣のりこ、長野の羽田次郎、新潟の打越さく良、愛媛の永江孝子、徳島・高知の広田一、三重の小島智子、鹿児島の尾辻朋実の各氏が当選を確実にしました」と伝えた。このうち横沢、石垣、羽田、打越、小島の各氏は、選挙協力を行った立憲民主党の候補者で、「立憲共産党」の成果を誇る紙面となった。

ただ、立民が獲得したのは改選数と同じ22議席で勢いを欠いた。改選2議席のれいわ新選組も1議席増の3議席にすぎない。このことは、リベラル政党が政権批判票を十分に取り込めなかったことを示している。

これに対し、改選4議席の国民民主は17議席、改選1議席の参政は14議席を得て躍進。特に国民民主は、非改選の欠員補充を含む定数7の東京選挙区で2議席を獲得した。

「手取りを増やす夏」をスローガンとした国民民主は、消費税減税や所得税課税最低ラインの178万円への引き上げなどを訴え、物価高に苦しむ有権者の支持を得た。「日本人ファースト」を掲げた参政は、外国人規制の強化に加え、選択的夫婦別姓制度導入への反対などを主張。リベラル化する自民に不満を抱く保守派の受け皿となった。SNS戦略に長(た)けた両党は、若年層の票を多く集めた。

 国民民主は党ホームページに21日付で「第27回参議院議員通常選挙の結果を受けて(党声明)」という文書を掲載。「『対決より解決』、与野党を問わずに政策ごとに是々非々の姿勢で臨」むとした。両党とも、真価が問われるのはこれからだ。国民生活を豊かにするとともに国益を増大する政策の決定に影響力を行使し、支持をさらに広げていくことができるだろうか。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »