「外免制度」厳格化へ
令和7年参院選の最大の目玉は参政党だった。この稿が載るのは結論が出た後になるが、選挙戦の勢いは他を圧倒していた。当然、メディアの注目も集めた。掲げるスローガンが「日本人ファースト」それに「反グローバリズム」。保守層に刺さるこの訴えは昨年の衆院選で自民党支持ながら、比例は国民民主党に入れた有権者の大半を、今度は参政党が掻(か)っ攫(さら)っていった感がある。
参政党の主張、といっても神谷宗幣((そうへい)代表の演説しか耳に入ってこないが、当然これに週刊誌の関心が向いた。選挙戦終盤の週に発売された週刊新潮(7月24日号)は「日本人ファーストでデマも飛び交う 外国人政策『4つの大問題』」の記事を載せている。
この記事は正確に言えば、参政党の訴えをきっかけに焦点として浮上した外国人問題が何であり、何の対策が必要か、政府や各党はどう取り組んでいるか、といったことをまとめたものだ。参政党の「日本人ファースト」そのものの是非をあげつらうものではない。
漠然と外国人問題といっても「原因も性質も異なるテーマであり、個々に精査して議論しないと本質が霞んでしま」うと東京大学社会科学研究所の永吉希久子教授は同誌に述べている。それで同誌は4点を取り上げた。
1点目は「外免切替」制度。「外国人ドライバーによる交通事故の件数」は「昨年は7286件と過去10年で最多」となった。ホテルなどを住所にし簡単なテストで切り替えができてしまうことが主な原因だ。「7月10日に警察庁は、制度を見直して10月から審査を厳格化する方針を発表した」。さすがに対策は打たれている。
これによって事故件数が多少は抑制されるだろうが、一方で課題もあると同誌は指摘する。名古屋大学大学院の加藤博和教授は「日本ではバス・タクシー・トラックの職業運転手が不足しており、(略)外国人の中から運転の仕事につく人が出てくることが望まれます」と言う。運転技能だけでなく、接客、整備などの知識も身に付けさせる必要があるということだ。しかし、最も外国人に理解してもらうべきことは、日本の運転マナー、運転文化だろう。それへの指摘がなかった。
医療費の「ただ乗り」
2点目は「医療費」だ。「外国人がただ乗りしている」という主張をする政党が幾つかある。3カ月以上滞在する外国人は国民健康保険への加入が義務付けられているが、保険料の納付率は63%。保険証を持っているが滞納しつつ使っているケースがそれだけあるということだ。
この点では「ただ乗り」だろうが、もっと規模の大きな「高額療養費制度」ではどうだろうか。「日本で医療を受ける際には全額自己負担」と東海大学健康学部の堀真奈美教授は指摘する。「ただし悪徳ブローカーが介在したり、制度の抜け穴をついて不正利用したりする可能性もゼロとは言い切れません」と言う。今後、ますます外国人労働力に頼っていく社会が来るのだから、しっかり適用してほしい。
3点目が「外国人の土地取得」問題。「日本が買われる」「外国人富裕層の投機目的の購入で東京ではアパートが買えなくなった」などと、選挙戦では繰り返し述べられた。平野秀樹・国土資源総研所長が問題点として、▲税金(不動産取得税、所得税)徴収▲安全保障上の問題▲転売―の三つを挙げた。これは要するに「国家ととしてのガバナンスの話」と平野所長は政府の尻を叩(たた)く。早急な課題である。
「免税制度」も変更へ
最後が「免税制度」。多くの訪日客が買い物をしてくれるが、彼らには消費税が免除される。問題は安く買って「転売」して儲(もう)ける不埒(ふらち)な外国人がいることだ。世界のスタンダードは出国時の払い戻しで、「非常に甘い日本特有のシステム」(早稲田大学大学院の伏見俊行教授)だったわけだ。来年11月から「リファンド方式」(払い戻し)に変更されるという。
参政党らが投げ掛けた外国人問題。少なくとも国は動きだした。国民が考えるきっかけをつくった点は功績があるとも言えるが、同党には他にさまざまな問題点もありそうだ。メディアのストレートな取り上げを期待する。
(岩崎 哲)






