トップオピニオンメディアウォッチH2Aの24年間の功績たたえ、後継H3に課題克服期す保守系3紙

H2Aの24年間の功績たたえ、後継H3に課題克服期す保守系3紙

世界トップの成功率

6月30日付産経「最高の信頼性を継承せよ」、7月1日付読売「高い技術を次世代につなげよ」、2日付本紙「宇宙開発支え24年ありがとう」――。

先月29日、温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW」を搭載したH2Aロケット50号機の打ち上げ成功を受け、社説で論評を掲載した3紙の見出しである。

3紙が社説を掲載したのは、今回が最後の打ち上げで成功率は98%、失敗は1機だけという世界トップクラスで、これまで日本の宇宙開発を四半世紀にわたり支えてきた実績を評価してのことである。

それにしては、掲載が3紙だけとは何とも寂しい限りで、日頃、H2Aロケットが打ち上げた衛星の恩恵に浴していることを思えば、恩知らず、薄情に思えてしまうが、言い過ぎだろうか。

それはさておき、掲載の保守系3紙の評価は、すがすがしく気持ちがいい。 「H2Aロケットの最後の50号機が夜空に打ち上げられ、有終の美を飾った」で始まる産経社説は、20年以上にわたって日本の宇宙開発を支え、「国の基幹ロケットにふさわしい役割を果たしたことは高く評価できる」として、関係者の努力をたたえた。

読売は「高い信頼性で、日本の宇宙開発の歴史に残る重要な役割を担った功績は大きい」とし、本紙も「24年間、基幹ロケットとして日本の宇宙開発を支えたH2A。本当にありがとう、そして、お疲れさま――」とねぎらった。

自前で衛星打ち上げ

産経が言う「国の基幹ロケットにふさわしい役割」とは、「日本が大型衛星を自律的に宇宙へ安定輸送する能力を得た」ことで、同紙は「(その)意味は大きい」と指摘。安全保障に関わる政府の情報収集衛星や小惑星探査機「はやぶさ2」、実用衛星など多くの打ち上げが実現し、「宇宙先進国としての日本の地位を確かなものとした」と評価した。同感である。

この点は、読売も同様だ。「衛星の打ち上げは国の安全保障にかかわる。それを他国に依存せず、自国のロケットを維持する重要性は高まっている。日本がH2Aによって打ち上げ能力を保持してきた意義は少なくない」とした。

読売はまた、「打ち上げが大幅に遅れることも少なかった。依頼する側の企業がスケジュールを立てやすいという点も売り物だった」ことも評価した。

産経と本紙は、2007年に13号機から三菱重工業に製造と打ち上げが移管され、「海外の衛星を打ち上げるビジネスに道を開いたことも大きい」(産経)などとしたが、課題も残した。

約100億円の打ち上げコストで、読売は「国際的な市場競争力が低く、海外からの契約獲得は限定的だった」と指摘。本紙も「米スペースX社などの登場もあり、衛星打ち上げ市場の価格競争が激化する中、目指した海外衛星の商業打ち上げは苦戦。……5基にとどまった」とした。

コストの半減目指す

産経は「後継のH3ロケットに持ち越された課題は多い」とし「日本の国際競争力を向上させるにはコストをさらに低下させ、打ち上げの頻度も高める必要がある」とした。

H3は自動車向け部品の活用などで費用を50億円に抑えることを目指している。23年3月の初号機こそ打ち上げに失敗したが、昨年2月の2号機以降は1年間で4回連続で成功させている。

産経は「H2Aで培った技術と精神をしっかり継承し、さらに磨きをかけ、信頼性の向上に不断の努力を重ねてほしい」と強調、政府に「後押しを続けるべきである」と支援を求め、本紙は「H2Aで果たせなかった夢を実現してほしい」とエールを送った。

読売はH3が新エンジンの開発に難航したことを挙げ、「H3の後継ロケットの開発にも早期に着手し、確実な技術継承を図るべきだ」とした。

打ち上げが緒に就いたばかりのH3だが、一理ある。

(床井明男)

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