7月の参院選の前哨戦と位置付けられ、物価高対策や「政治とカネ」が主な争点となった東京都議選の投開票が22日に行われ、自民党の獲得議席は過去最低の21という惨敗となった。
一方、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」は31で、第1党を奪還。立憲民主党は12から17に増え、これまで議席のなかった国民民主党が9、参政党が3を獲得した。
こうした中、公明党が9回連続の全員当選を逃したことも大きなニュースとなっている。特に、支持母体である創価学会の故池田大作名誉会長の出生地である大田区や、学会や党の本部がある新宿区の候補が落選したことは、党に大きな衝撃を与えたようだ。
公明にとって都議選は「結党の原点」だ。公明機関紙「公明新聞」は告示日の13日付以降、連日1面トップで候補者の主張や選挙区の情勢を伝え、22日付は「首都決戦 断じて勝つ」の見出しで候補者の最後の訴えを報じた。しかし22人の候補者のうち当選したのは19人で、全員当選を果たすことはできなかった。
この結果について、24日付1面は「公明19氏当選 大健闘」、3面も「公明、19人が大激戦突破」の見出しで当選者をたたえる紙面となった。ただ1面では、斉藤鉄夫代表が23日未明に行った記者会見で、3人の候補の落選について「党として政策を訴え、支持を得ていくための運動量、努力が足りなかったことが第一の要因だと思っている」と分析したことも伝えている。
この背景には、学会員の高齢化に伴う組織の弱体化があると言えよう。公明の衆院選の比例票はかつて800万票台に達したが、昨年の衆院選では過去最少の596万票まで落ち込んだ。党の創立者である池田氏が2023年11月に死去したことで求心力の低下が不安視されていたが、さらに09年から24年まで党代表を務め、「党の顔」として学会員からの信頼も厚い山口那津男参院議員が、今回の参院選に出馬せずに政界を引退することも懸念材料となっている。
国政で連立を組む自民にとっても、公明の集票力低下は打撃となる。自民内には学会の支援がなければ当選できるか分からない議員も少なくない。参院選を前に自公には強い危機感が広がっている。集票力を補うSNS戦略の強化などで態勢を立て直し、反転攻勢を掛けられるかが問われよう。





