トップオピニオンメディアウォッチ人口減対策に「家庭・家族」の基本抜きに崩壊狙う似非人権主義勢力

人口減対策に「家庭・家族」の基本抜きに崩壊狙う似非人権主義勢力

経済・労働対策ばかり

国内で生まれた日本人の子供の数は昨年、70万人を下回った(各紙5日付)。1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率も1・15で過去最低。この超少子化問題を各紙はそろって「極めて深刻な事態」(産経7日付「主張」)などと捉えていた。

だが、社説を読むと、どうもしっくり来ない。「家庭」「家族」といったファミリーの文言が皆無に等しかったからだ。子供を論じるのに家庭も家族も存在しない。どう考えても、変ちくりんではないか。

社説が論じるのは経済・労働問題ばかりだ。日経5日付は少子化を「変革怠る社会への警鐘だ」とした。雇用・労働慣行が結婚・出産の「壁」になっており、「多様な選択や生き方ができる職場や地域をもっと積極的につくる」ように変革を迫っている。

売6日付は「社会全体で子育てを支えたい」と言い、「雇用が安定せず、賃金も低くなりがちな非正規の人が結婚や出産をためらう」のが問題で、若者の意識を変える「カギは働き方改革に」とする。

一方、朝日6日付は「急がれる支え手の確保」を掲げ、少子化対策を吹っ飛ばして金融教育に携わる人物の「私たちの不安の正体はお金の不足ではなく、『働くヒト』の不足にある」との考えを持ち上げ、「働く外国人のための環境整備、人工知能(AI)などデジタル技術による効率化の戦略もいる」と労働力確保に力点を置く。少子化は移民で補えと言わんばかりだ。

夫婦別姓の“珍論”も

毎日7日付は「『想定外』の少子化直視を」という。その直視とは「家族観や働き方についての意識は大きく変わっている。事実上、女性に改姓を迫る婚姻制度のほか、長時間労働や転勤を前提とした雇用慣行に違和感を覚える若者もいる。こうした問題点を洗い出すことから始めるべきだ」とし、夫婦別姓にすれば結婚・出産が増えるかのように説く。筆者には“珍論”としか思えないが。

「女性に改姓を迫る婚姻制度」との認識も解せない。民法は夫婦の氏(姓)は「夫又は妻の氏を称する」(750条)とし、夫(男性)のものでも妻(女性)のものでもよく、どちらかを選びファミリーネームを一つにするとしている。それが家族の絆や一体性を重んじるわが国の姓の在り方で、この家族観を軸に安全安心な社会がもたらされてきたのではなかったか。それを毎日は顧みようとしないのである。

産経7日付は「若者の賃上げ加速させよ」と他紙と同様に少子化対策を経済・労働問題で論じ、その上で「重要なのは、人口減でも移民国家にならずに、社会を回していくことだ」と朝日の移民増論を真っ向から否定し、人口減社会を前提に「住まいや公共施設を集約させる集住」や「都道府県の再編」を提唱している。少子化対策を軽視する傾向があるのが疑問だ。

さて、以上の社説で「家族」の文言があったのは、たった2カ所だけだ。毎日の前記「家族観」と、日経が「(経済的不安が)若者を家族形成から遠ざけている」とする「家族形成」の箇所である。他のどこにも家族や家庭の記述がない。見事なまでに「家族狩り」「家庭抜き」をやっている。

消される家庭の権利

それで、「こども家庭庁」創設時の議論を思い起こした。当初は「こども庁」とされていたが、有識者らが異議を唱え家庭が加えられた経緯がある。なぜ、「こども」だけだったかというと、「子も親も、『個』として捉えない『家庭』」(朝日ネット版2022年2月21日付)と断じる左翼の家庭否定論者が同庁創設論議をリードしていたからだ。

世界人権宣言は「家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する」(第16条)とするが、わが国では「家庭」の破壊を目指す似非(えせ)人権主義者が闊歩(かっぽ)し、家庭の権利が消されてしまっている。家族破壊主義勢力が着々と日本社会に浸透してきている証左だろう。

(増 記代司)

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