トップオピニオンメディアウォッチ「家族の歴史」が道徳心育むと夫婦別姓反対の日本保守党・竹上ゆうこ氏

「家族の歴史」が道徳心育むと夫婦別姓反対の日本保守党・竹上ゆうこ氏

第217通常国会が召集され、衆院本会議に臨む議員ら(2025年1月24日、国会内)
第217通常国会が召集され、衆院本会議に臨む議員ら(2025年1月24日、国会内)

核心の理解は少数派

国会の会期末が迫る中、選択的夫婦別姓(夫婦別姓)に対する各党の対応がバラバラだ。自民党は独自法案の取りまとめを見送る一方、立憲民主、日本維新の会、国民民主の各党はそれぞれ独自案を国会に提出した。

焦点の一つだった子供の姓については、立民と国民が同じ姓にすると修正した。出生時に夫婦が協議して決め、協議がまとまらない場合は家庭裁判所の審判にかけるとしていたが、ここに来て修正するとは当初、深く考えていなかった証左だ。

それは新聞・テレビも同じだ。オールドメディアを見ているだけでは、たとえ選択的であろうと、この問題の核心を理解している読者・視聴者がそれほど多いとは思われない。一部を除き推進派だらけのオールドメディアがバイアスをかけて報じてきたからだ。

一方、政治家や識者の生の声を聞くことができるユーチューブチャンネルを検索すると、本質を突く発言によく出くわし驚く。フェイク情報や過激発言などマイナス面もあるが、情報を選ぶなどうまく活用すればSNSは有益である。

ユーチューブ「日本保守党支援隊チャンネル」が同党の記者会見(5月13日)動画をアップしていた。その席で、夫婦別姓に関する記者からの質問に、党代表の百田尚樹、衆議院議員の島田洋一、竹上ゆうこが答えていた。百田が推進派の一部は「家族と戸籍の破壊をもくろんでいる」とズバリ指摘した後、なるほどと思わせたのは島田。

夫婦別姓を可能にする立民の民法改正案が、法施行から1年以内は経過措置として、すでに結婚して姓を変更していても旧姓に戻せることを盛り込んでいる。法務委員会に名を連ね、夫婦別姓を「家族別姓」と呼ぶ島田はこの措置を「矛盾が矛盾を生む」と批判した。配偶者の同意を得る必要があるとした点を突いたのだ。

道徳心・自律心育む家

女性の自由度を高めるために夫婦別姓を導入すると言っておきながら、妻が旧姓に戻したいと言っても、夫が反対したらダメというのだから「女性が希望しても、男がそれを潰(つぶ)すのか」となる。「これね、立憲の提案者がどう説明するのか、法務委員会で質問しようと思っている」とにんまりした。

また、竹上は元教員らしく夫婦同姓の教育上の利点を語った。「日本の犯罪率が諸外国に比べると低いのはなぜか」と問題提起し、その要因の一つとして、日本では姓が「家族の呼称」だから、そこに刻まれた「家の歴史」を知ることができる。それによって、子供の自律心が育まれる。つまり「社会秩序と子供の意識と道徳心を育む一つの源流にもなるのが家の名前(家族の呼称)」だと言うのだ。他者との関係性の中で生きてこそ人となる。それを象徴するのが戸籍だとすれば、おいそれと変えてはなるまい。

京都大学特定准教授で、文芸批評家・浜崎洋介(藤井聡チャンネル、2月16日)の解説はさらに面白かった。夫婦別姓に反対する浜崎はまず、問題を理念的に整理する。推進派は個人主義で、個人の自由を脅かすことは「悪」と見る立場。慎重派は「全体の有機的な秩序、調和感、まとまりに基準を置く」保守派・調和派だと分析した。

その上で「一緒になって名前(姓)が別では、俺たちはユニットでやっていく、と覚悟を示していない。それでいて、国家に結婚届けを出して『守ってください』とは、そんな虫の良いことあるか」と手厳しい。

政治家は空気に弱い

さらにそれを「選択的」にすれば、要らざる葛藤を生む。夫婦の親は「どうしてあんたたちは別姓にしたの」となる。同姓夫婦と別姓夫婦が付き合う時は、「あの家は別姓なんだ」と、距離ができると見抜いた。

最後に政治家をやり玉に挙げた。夫婦別姓は「個人の自由」を認めることだと言われれば反論が出ないし「(同姓は)個人の自由を抑圧する、という大きな声だけ表に出る。それが空気をつくる。その空気に弱いのが政治家」というのである。夫婦別姓に明確に反対するのが保守派少数政党の日本保守党と参政党だけになっている所以(ゆえん)だ。

(敬称略)

(森田清策)

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