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自衛官確保は至上命題 処遇改善策を紹介する「自由民主」

論説解説室長 宮田陽一郎

日本の安全確保を担う自衛官の不足が深刻化している。2023年度の採用は予定の51%と低迷。このままでは安全保障にも重大な支障を来しかねない。

防衛装備品のハイテク化が進む自衛隊ではあるが、マンパワーは依然として重要だ。国防に関してはもちろん、大規模災害の際も自衛隊は人命救助の「最後の砦(とりで)」だと言える。

自民党機関紙「自由民主」4月1日号は、1面トップで「自衛官の確保は至上命題」との見出しで自衛官の処遇改善策を紹介している。政府の第1の使命が国民の生命と財産を守ることである以上、与党の機関紙が「至上命題」としたのは当然だ。

石破茂首相(党総裁)は昨年10月、処遇改善のために関係閣僚会議を設置し、12月に基本方針を決定。「自由民主」には「基本方針を踏まえて、過去に例のない30を超える手当等の新設・金額の引き上げを行う関連法の改正案を国会に提出し、必要な予算措置を令和7年度予算に盛り込んだ」と書かれている。

具体的には、採用後に教育してから自衛官に任官する方法を廃止し、当初から自衛官として採用する制度を創設。初任給を現在の約18万円から約22・4万円に引き上げる。

入隊直後から営舎や船舶などで集団生活を送る自衛官には、採用から6年までの間、1年ごとに20万円、最大で総額120万円を支給。また個人事業主の予備自衛官らが災害などで招集された場合、事業継続を支援するための給付金(日額3万4000円)が支給される。

党安全保障調査会会長の木原稔衆院議員は「自衛官の処遇改善に向けた取り組みは、今回で終わりではなく、引き続き党としても進めて行く」と述べた。ただ、こうした取り組みとともに国民一人一人の防衛意識を高めることも自衛隊の基盤を強化する上で欠かせないのではないか。

有事法制の一つとして04年に制定された国民保護法では、住民でつくる自主防災組織に国や自治体が支援するよう定められている。国や自治体は、自主防災組織には大災害だけでなく、武力攻撃事態の際にも避難誘導や救助活動を担う役割があるとの認識を広める必要がある。

一方、国民保護法に基づく避難指示には強制力がない。有事の際に国民の命を守るため、憲法を改正し、緊急事態条項を創設することが急がれる。

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