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日中与党交流協議会、1面トップの「公明新聞」

日米の分断図る中国

自民党の森山裕、公明党の西田実仁両幹事長らは14日、中国共産党幹部と「日中与党交流協議会」を6年3カ月ぶりに北京で開いた。共産党序列2位の李強首相との会談も行われるなど、中国側は森山氏らを厚遇した。

公明党機関紙「公明新聞」は15日付1面トップで大きく報じた。「西田幹事長は今回の協議会の意義について『日中の信頼醸成を図って両国の国民感情を改善させ、やがては日中首脳会談を常態化し、関係改善の拡大をめざすべきものだ』と力説した」と伝えている。

この他1面には「経済交流の加速で一致 王滬寧全国政協主席と会談」「安保対話『生産的な提案』 王毅外相、公明の主張に見解」と関連記事が並ぶ。翌16日付も「与党訪中団 李強首相と会談」が1面トップ。親中の公明党らしく友好ムードを前面に打ち出す紙面となった。

しかし日中間には、沖縄県・尖閣諸島周辺で常態化している中国海警船の領海侵入をはじめ、中国による日本産水産物の全面禁輸措置や反スパイ法に基づく日本人拘束など懸案が山積している。広東省深圳市の日本人男児殺害事件では在留日本人の間に安全が守られるのか不安が広がった。森山氏らは禁輸撤廃や日本人の安全確保などを求めたというが、現状で「信頼醸成」ができるとは思えない。

一方、自民党機関紙「自由民主」は1月28日号の2面で報じた。「対立点はあっても双方の利益が合致する部分で協力を進める『戦略的互恵関係』を推進することを確認した」と伝えている。だが中国との「互恵関係」構築の努力が、本当に日本のためになるのか。

中国側が森山氏らを手厚くもてなしたのは、対中強硬姿勢が際立つトランプ米政権の発足を念頭に日米の分断を図る狙いがあろう。日中間の懸案が何一つ解決されていない中、関係悪化やコロナ禍などで途絶えていた与党交流をなぜ今この時に自公両党が再開したのか疑問が残る。

与党交流といっても日本と中国の与党は違う。日本では民主的な選挙結果に基づいて自公両党が政権を担っているのに対し、中国では国民党との内戦に勝利した共産党が一党独裁体制を敷いている。

米国では第1次トランプ政権が、中国の発展を後押しして民主化を促す歴代政権の「関与政策」を「失敗」と断じた。自公両党は同盟国米国の「失敗」を教訓とすべきだ。(宮田陽一郎)

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