トップオピニオンメディアウォッチ1・17に家族の絆尊重も震災過ぎれば「夫婦別姓」に鞍替えする朝毎

1・17に家族の絆尊重も震災過ぎれば「夫婦別姓」に鞍替えする朝毎

家族の写真のイメージ
家族の写真のイメージ

家族の絆各紙に満載

NHKに「ファミリーヒストリー」と題する不定期の番組がある。著名人の家族の歴史を取材し「アイデンティティー」「家族の絆」を見詰める番組で、直近では昨年12月に俳優・大泉洋氏の「北の大地に希望を託して」が愛の物語を紡いでいた。 

1月17日の阪神大震災30年を巡る新聞記事はそんなファミリーヒストリーの満載だった。むろん被災者のそれだ。筆者はネットで新聞を購読しており、スマートフォンに「昼ニュースレター」や「夕ニュースレター」などが配信されてくるが、17日はこうだった。 

朝日からは「残された人たちが語り続ける意味 母と弟を亡くした遺族代表の30年」「母が残した家族写真、裏にはメッセージ 30年後、3兄弟に届いた」。毎日からは「『おやじ、ありがとう』今年も乾杯! 2人の『息子』変わらぬ縁」「『お母さん、頑張ったよ』家族で唯一犠牲の息子へ胸張れるように」 

紙面では朝日に「亡き子と家族の30年 阪神・淡路大震災」の連載があった。「大好きな姉、泣けなかった私 小6は心にふたをした」(15日付)、「『とうしゃん』の隣、突然だった 香織のできなかったこと、妹に」(16日付)、「ほっぺの記憶、もがき、生きる」(17日付)

涙腺緩む家族の歴史 

毎日には「紡ぐ30年 阪神大震災、ともに」のシリーズ。こちらも「苦難の先、生きる幸せ 母と兄犠牲、父が失踪 運命変えた妻との出会い」(17日付)など。愛しい子らの写真があり、いずれのファミリーヒストリーにも涙腺が緩んだ。記事は震災30年を経ても「家族の価値」が普遍であることを改めて示していた。 

毎日が埼玉大学社会調査研究センターと共同で行った「平成という時代」を問う世論調査(18年12月30日付)で、「何かを得た」「何かを失った」を聞いたところ、いずれも「家族」「子供」「孫」など家族に関することが最も多かったことが思い出される。 

また朝日の世論調査には次のようなものがあった。「家族の結びつきを強めることは、国や社会の安定のために必要か。それとも、個人の自由か」と問うたところ(18年5月2日付)、「国や社会の安定のために必要だ」が65%で「個人の自由だ」の32%をダブルスコアで圧倒していた。 

ちなみに自民党が安倍晋三総裁の下で作成した改憲草案(12年)は「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」(草案24条)としているが、朝日は「個人の尊重」を唱えて真っ向から反対し、反家族条項キャンペーンを張った。16年4月1日付から連載した「憲法を考える 自民改憲草案」と題する記事では、「個人よりも家族を重視している」(同19日付)などと批判した。

安倍氏の価値観共有 

安倍氏が当時、発刊した『新しい国へ 美しい国へ完全版』(文春新書)には「『お父さんとお母さんと子どもがいて、おじいちゃんもおばあちゃんも含めてみんな家族だ』という家族観と、『そういう家族が仲良く暮らすのがいちばんの幸せだ』という価値観は、守り続けていくべきだ」とあったが、朝日はこれにも噛(か)みついた。それでも国民の多数は「家族派」なのである。震災30年のファミリーヒストリーは安倍氏の価値観を国民が共有していることを改めて証明したと感じ入った。 

さて、震災記事であえて朝毎を取り上げたのは1・17が過ぎると、途端に家族を忘れ今週開催の通常国会で「ファミリーネーム」を壊す選択的夫婦別姓を推進しようとしているからだ。朝日はタンチョウヅル(体は白いが頭が赤い)か、地方支局や社会部の現場で「家族の価値」を書いても政治部や編集委員に“出世”すると「個人の尊重」派へと鞍(くら)替えする。そうでないと出世できないからか、朱に交われば赤くなるからか。とまれ震災30年が示した「家族の価値」を風化させてはなるまい。

(増 記代司)

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »