ワシントン事務所問題も
沖縄本島北部は先月8~10日に記録的な大雨に見舞われ、特に国頭、大宜味、東の3村は甚大な被害を被った。地元メディアによると、2カ月がたとうとしている今でも避難生活を続けている人がいる。
この集中豪雨の対応を巡って、自民党機関紙「自由民主」12月3日号には玉城デニー氏の知事としての資質を問う記事が掲載された。被災した3村を選挙区に含む沖縄3区選出の島尻安伊子衆院議員の寄稿だ。記事中では「災害救助法の適用を受けるといった、基本的な初動の措置が遅れた」と指摘されている。
災害救助法は、災害発生直後の救助や保護、支援などについて定めた法律で、適用されれば救助などの費用を国と県が負担し、被災した自治体の負担分をゼロにすることができる。同法の適用基準は大きく分けて①家屋の被害が基準を超えている場合(1~3号基準)②多くの人が生命・身体に被害を受けるまたはそのおそれが生じた場合(4号基準)―の二つある。
1~3号基準の人口に応じた被害数の基準はかなりハードルが高いため、国は4号基準にある「被害を受けるおそれ」を基にした適用を積極的に進めるよう呼び掛けている。今回の集中豪雨でも、内閣府が11月9日午前の時点で県の担当である生活安全安心課に2度電話をかけたがつながらなかったという。県が災害対策本部を設置したのは雨が収まった同月11日で、その時点で「おそれ」を理由に適用を受けることはできなかった。島尻氏は寄稿の中で「極めて問題だ」と批判している。
今月20日付の公明党機関紙「公明新聞」でも、県議会での追及を取り上げ、同党県議の、「被災者にとって『二次被害』であり、県政に対する信頼を大きく失墜させた」との言葉を載せた。
県議会では、県が米ワシントンに置く駐在事務所の運営手続きにおける問題を巡って10年ぶりに百条委員会の設置が決まるなど玉城県政への批判が高まっている。いずれも単なる不祥事ではなく、県の信頼性を揺るがす問題だ。玉城氏は今月22日、米兵による性的暴行事件に抗議する大会で、米軍の組織的責任を問い強い言葉で批判した。米軍関係者による事件が繰り返される中で軍により強い規律を求めるのは当然だが、県政に対しても同様に高い緊張感を持って向き合ってほしい。
(亀井 玲那)