Homeオピニオンメディアウォッチ公明党 結党60年【政党メディアウォッチ】

公明党 結党60年【政党メディアウォッチ】

大衆の不満に向き合え

公明は17日、結党60年を迎えた。同日付の機関紙「公明新聞」は、1面に斉藤鉄夫代表のメッセージを掲載。メッセージは「『日本の柱』担う公明」「立党精神胸に強靭な党築く」とし、党創設者の故池田大作・創価学会名誉会長が提唱した「大衆とともに」を実現していく決意を改めて示した。

公明は9日に代表が交代したばかりだ。先月27日に投開票された衆院選で、初めて小選挙区に挑んだ石井啓一前代表が落選。党としても獲得議席が24と公示前から8減、比例代表の得票数も前回衆院選から114万票減の596万票で過去最少となるなど「完全敗北」だった。

石井氏は9月28日の党大会で山口那津男元代表に代わって就任。先の衆院選について、来年夏の東京都議選、参院選と合わせて「3大政治決戦」と位置付けていた。先月31日に敗北の責任を取って辞任すると表明し、異例の短期間での交代となった。61年目は衆院選での敗北が色濃く残る中でのスタートである。

「敗北」残るスタート

公明は結党以来「大衆福祉」を掲げる。衆院選では物価高対策として、低所得者世帯への給付金支給を公約に盛り込み、当時代表だった石井氏は1世帯当たり10万円が目安との認識を示した。今月7日には石破茂首相に給付金支給を含む経済対策を提言した。

低所得者世帯への給付金は新型コロナウイルスの流行以降、お決まりの政策になって複数回実施されているが、国民の間ではこうした特定の層だけを対象にした政策について反発が強まっている。対象が限定的な景気対策は、ラインをどこに設定したとしても「恩恵を受けられないが生活は苦しい」という人が出てきてしまい、今の時代、そうした人の抱く不満はSNSを通じて簡単に社会全体に伝播(でんぱ)する。

衆院選で国民が言及した「103万円の壁」も、SNSでは何年も前から指摘されてきたものだ。国民がいち早くその声を拾い上げ、政策に取り入れた。まだ若く小さな政党で、しがらみが少なかったからこそできたことかもしれない。斉藤氏は、結党70年、100年に向けて「反転攻勢に打って出てまいりたい」と述べた。既存の大政党が軒並み支持率を下げている中、公明に限ったことではないが、こうした不満の声をすくい上げられるかがカギになるだろう。

(亀井 玲那)

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