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【政党メディアウォッチ】NHK国際放送「乗っ取り」事件

自民説明会で厳しい意見

日本で唯一の公共放送機関であるNHKで「放送乗っ取り」事件が起きた。先月19日に放送されたラジオ国際放送の中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフの男性が不適切な発言をしたのだ。

男性は靖国神社に中国語の落書きがあったというニュースを読み上げた後、沖縄県石垣市の尖閣諸島について「中国の領土」と原稿にはない発言をした。他にも「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと話し、発言は生放送で流れた。

あるべき放送を放棄し手段を選ばず自分の主張を訴える、ある意味テロリズム的行為だ。NHKはこれを「放送の乗っ取りとも言える事態」だとし、稲葉延雄会長らが役員報酬の50%を1カ月間、自主返納すると発表。総務省は行政指導を行った。

自民党機関紙「自由民主」は9月10日号で、党情報通信戦略調査会(会長・野田聖子元総務相)が稲葉氏から説明を受けたことを報告した。記事によると稲葉氏の説明に対して出席した議員からは厳しい意見が相次いだという。

一部を引用すると、「当該中国籍の男性は、そもそもどのような給与水準で契約をしていたのか等、基本的な部分の回答がない」「この男性スタッフ個人の考えで行ったのか、何らかの意図を受けて行ったのか」「放送を行ったのはNHKであるので、もっと当事者として責任を持って対応すべき」などだ。

二つ目の意見に関しては、男性スタッフの行動が中国共産党の意向を受けてのものだったのかということだろう。野田氏は、公共放送の看板を下ろさなければならないくらい深刻な事態だと指摘したそうで、自由民主のウェブ版ではこの発言が見出しになっている。説明会は今月11日に第2回が開かれた。

日中の緊張感増す事件続く

靖国神社の落書きをはじめ、日中間の緊張が高まるような事件が続いている。6月には江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスが襲われ、止めに入った中国人女性が死亡。今月18日には深圳で日本人学校に通学途中の男児が刃物を持った男に襲われ亡くなった。

外国で事件が起こった場合、基本的には犯人とその国や国民をひとくくりにすべきではない。ただ中国の場合、個人の行動に見えても背景に政府による扇動や指示がないとは言い切れない。犯罪行為が扇動の結果起きた個人の暴走なら、深刻さはさらに増す。どちらにしろ日本政府は一層の危機感を持って国内外の国民を守らなければならないだろう。

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