「劣等民族」発言で大炎上する青木理氏 「サンモニ」は起用続けるか

「たこつぼ化」の典型

自分の世界に閉じこもって他人や他部門に関心を示さなくなることを「たこつぼ化」という。ユーチューブ利用者は、自分の考えと同じかそれに近いコンテンツばかりを見る傾向が強い。PCやスマホでは、所有者の利用傾向に合わせたコンテンツが優先表示されるから、それらを見続けると、当然視野が狭くなる。それはヘビーなSNS利用者だけでなく、同じ考えの人間が集まることが多い政治的右派・左派両方に言えることで、社会分断の要因の一つでもある。

昨年4月、インターネット番組で法政大学教授の島田雅彦が安倍晋三元首相暗殺事件について「今までなんら一矢報いることができなかったリベラル市民として言えば、せめて暗殺が成功して良かった」と述べて炎上した。後に島田は「軽率だった」と一応謝罪したが、これなどはたこつぼ化して独善に陥った左翼が自分の発言に対する世間の反応を予測できなくなる典型例だ。

この番組で島田と対談し、彼の発言に笑みを浮かべるだけで咎(とが)めなかった元共同通信記者の青木理が今、差別発言で大炎上中だ。TBSテレビ「サンデーモーニング」(サンモニ)のコメンテーターとして知られる青木は今月中旬、ジャーナリスト・津田大介の政治系ユーチューブ番組で、自民党支持者を「劣等民族」と誹謗(ひぼう)したのだ。

その対談内容を確認しようと検索しても見つからなかったので、ネット情報を総合すると、発言の経緯は次のようなものだった。

「人々はなぜ自民党に投票し続けるのか」と津田が話を向けると、青木は「一言で終わりそうだよ」と思わせぶりに語る。津田が「なんですか」と聞くと、「劣等民族だから」と答え、二人で笑った。これがX(旧ツイッター)やユーチューブで瞬く間に拡散している。

諫めなかった批判も

劣等民族じゃなくて「列島民族」が正しく、島国だから保守的の意味だった、とごまかして逃げるのかと思いきや、だんまりを決め込んでいる。話題づくりの“炎上商法”にしてはリスクが高過ぎる。ナチスまがいの優性思想を思わせる差別発言をすれば、テレビ番組から降ろされるのがオチ。長年、左翼の仲間とつるんでばかりいるうちに、自分の発言を客観評価できなくなったのだろう。

津田と言えば、5年前、昭和天皇の肖像写真を燃やしその灰を踏み付ける動画や、慰安婦を象徴する少女像などを展示して混乱した「あいちトリエンナーレ」の芸術監督を務めた政治活動家として知られる。劣等民族発言では、それを諫(いさ)めなかった津田に対する批判も出ている。

差別発言をして謝罪しない人間には、“前科”があるとみた方がいい。そう思っていたら、青木がかつて女性差別発言を行っていた動画がXにアップされた。ネット番組でこんなことを言っていたのだ。

「昔、口裂け女ってはやったじゃん。子供の頃にさ、マスクしてさ。(マスク外しながら)私ってきれい、とかって言う。子供の頃にずっと思い描いていた口裂け女のイメージが高市早苗なんだ」。保守派が女性の容姿を揶揄(やゆ)したら、左派は大騒ぎするのに。

青木の発言はスルー

保守派に人気のお笑いタレントほんこんの「ほんこんチャンネル」(23日)。「サンデーモーニングね、昨日は青木さんは、出ておられなかったが、SNS等での誹謗中傷とか、ヘイト、差別発言のこともちょっと言われていましたけど、だったら青木さんの『劣等民族』、高市早苗さんへの『口裂け女』、そして安倍晋三さんが亡くなられた時に、『よくやった』と言われた時に、ふふっと笑っておられるとかはどうなんですか」

前出の島田は一応、謝罪した。しかし、青木は発言に対する取材を受け付けず、釈明もしていない。ほんこんが指摘したように、差別発言が炎上後、初めてのサンモニ(22日放送)は、SNS上のヘイト発言を話題としたが、青木の発言は完全スルー。今、SNSの注目はサンモニが彼を続投させるかどうかだが、続投なら、サンモニもたこつぼ化した左翼の仲間ということだ。(敬称略)

(森田清策)

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