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不安な老後、地方移住や副業・開業を勧めるエコノミスト・東洋経済

年配の夫婦のいえーじ(Image by Eddie K from Pixabay)
年配の夫婦のいえーじ(Image by Eddie K from Pixabay)

2千万円で足りる?

「人生100年時代」という言葉が世間を賑(にぎ)わして久しい。確かに筆者の周りにも90代の高齢の方が多くおられ、庭の手入れやウオーキングなどで頑張っておられる姿を見ると、「人生100年時代」が現実味をもって迫ってくるようである。ただ現在、会社勤めの人の定年が65歳あるいは70歳となれば、その後30年間以上セカンドライフを過ごさざる得ないわけで、定年後いわゆる老後のライフプランをしっかりと立てておく必要がある。

そんな第2の人生設計について週刊エコノミスト(8月6日号)と週刊東洋経済(8月3日号)が特集を組んだ。このうちエコノミストは「足りる? 足りない? 老後資金」との見出しを付けて老後の生活に焦点を当て、東洋経済は老後を視野に入れた「40~50代のための副業・開業のススメ」をテーマに定年後の生活に備えた取り組みについて幾つかの指針を与えている。

確かに「人生100年時代」となれば、最初に頭に浮かぶ不安が老後資金である。3年前に金融庁の金融審議会が「老後に安心して生活するには2000万円が必要」と報告書を提出して物議を醸した(最近ではテレビ番組で4000万円が必要との声もある)が、エコノミストはそれに真っ向から反対を唱える。

経済ジャーナリストの荻原博子氏を登場させ、「『2000万円不足する』という家庭のサンプルは、夫65歳以上、妻60歳以上という無職世帯です。一方で22年の労働人口比率を見ると、65~69歳で働いている人は全体の51%です。半分を超える人が働いており、そうした家計はほとんどが黒字で、無職の世帯は今や少数派です」と前提が現実と合っていないと指摘する。さらに、「人手不足の中、70歳を超えて働く場所があります。元気に長く働くことを考えておくことです」と綴(つづ)り、「稼ぐに追いつく貧乏なし」とさえ言ってのける。

新たな生きがい得る

「健康であれば元気に働け」ということなのだろうが、それでも老後に不安を感じるのが人情というもの。仕事を持たずに公的年金のみで暮らす無職の高齢者世帯ではなおさらで、税金や保険料の天引きで手取りの減少にいつも気を遣わなければならない日々となる。

「働いてきた時の給与と比べてかなり少ない年金のみで生活している高齢者にとっては年金からの天引きは決して無視できない額である」(長内智・大和総研主任研究員)と説明、実際に厚生労働省の23年の「国民生活基礎調査」によれば、年金暮らしが「苦しい」と訴える高齢者世帯の割合は60%近くに及ぶ。

そこでエコノミストが提唱するのが、地方への移住生活。「人生をリセットできる移住は生活費を下げるのみならず、新たな生きがいをもたらしてくれる」というのである。余程の限界集落でない限り、地方の人口1万人前後の町にはコンビニエンスストアや病院、介護施設は存在する。IT時代において海外とのコミュニケーションも可能。そして何よりも豊かな自然が身近にあることが大きなメリットである。もっとも、移住するにしても即決断するのは危険であることは間違いなく、定年前からしっかりと計画を立てておくのが肝要なことは言うまでもない。

潜在的資源ある地方

そういう意味で、東洋経済が特集した「40~50代のための副業・開業のススメ」は意外に役立ちそうだ。事業を立ち上げるための実務的なノウハウを紹介するだけでなく地方において地域の資源を生かしながら、それまで培ったスキルをもって市場のニーズに対応していく成功者の例を列挙している。

例えば今年7月、都内から長野県辰野町に移住した井上恵一さんはナポリピザ専門店を開業。10年間修業を積んでオープンにこぎ着けたが何よりも決め手は、3階建ての店舗兼住宅の家賃が月3万円だったこと。都会で高いリスクで起業するよりも自然環境に恵まれた地方の開業は魅力的だというのである。

「人生100年時代」。地方は今、人口減少にあえぎながらも街の活性化に向けて外部の知恵と力を導入しながらでも街づくりを進めようとしている。しかも地方には潜在的な資源が残されている。いま一度、地方を視野に入れた人生設計というものを考えてもいいのではないか。(湯朝 肇)

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