トップオピニオンメディアウォッチ創立70年迎えた自衛隊 「違憲」の旗を振り貶め続けてきた朝日

創立70年迎えた自衛隊 「違憲」の旗を振り貶め続けてきた朝日

国際観艦式で曲技飛行を披露する虚空自衛隊のブルーインパルス。招待された大使館駐在員らも写真を撮ろうとスマートフォンを向けていた
国際観艦式で曲技飛行を披露する虚空自衛隊のブルーインパルス。招待された大使館駐在員らも写真を撮ろうとスマートフォンを向けていた

信じがたい人権侵害

「古希」は中国・唐の詩人、杜甫の「70年生きる人は古くから希(まれ)である」との詩の一節に由来する。7月1日に創設70年を迎えた自衛隊のそれは「希な軍隊」としての古希のように思える。

軍隊は身命を賭して国を守るから、どの国でも尊敬される。米国では5月の第3土曜日が軍隊記念日で、大リーグでは全球団が軍に敬意を表して迷彩色のキャップをかぶってプレーする。ところが、自衛隊の70年は違った。左翼勢力から「違憲の人殺し集団」とののしられ続けた。こんな軍事組織は「希」と言うほかない。

沖縄では本土復帰後の1972年10月に那覇に駐屯した陸上自衛隊第1混成団への迫害は語り草だ。首里出身で第2代団長を務めた故・桑江良逢氏は『幾山河―沖縄自衛隊』(原書房)でそれを語っている。自衛官の住民登録は拒否され、子弟の入学式や成人式の参加も拒まれ、ゴミ収集や電話交換まで断られ、琉球大学に入学した海士長は反対闘争に阻まれ退学を余儀なくされた―。そんな信じがたい人権侵害が沖縄のみならず全国でも見られた。

阪神大震災が発生する前年(94年)に陸自は「大震災地誌・京阪神編」を作成し、「兵庫県内対象地域はいずれも40%以上の高い焼失率」と見積もった。これを兵庫県や神戸市などに直接伝え防災訓練の連絡・調整を求めたが、黙殺された。「違憲の自衛隊」と白眼視されていたからだ。この時、陸自と協力し震災対策を講じていれば、被害は少なく抑えられただろう。

的外れな昇格反対論

「違憲」の旗振り役を担ったのが朝日である。97年に行革論議の中で防衛庁(当時)の省昇格がテーマに上ると、朝日は「あきれ果てた『防衛省』騒動」との社説を掲げ(同年11月13日付)、「文民統制を崩し、国を危うくする」と噛(か)みついた。2007年に安倍晋三第1次内閣が防衛省に昇格させたが、同様に批判した(同年1月4日付社説)。今となれば、誰が見ても的外れな省昇格反対論だろう。

三宅島噴火(00年6月)では大型輸送艦『おおすみ』で全島民を避難させたが、朝日は「救助活動で(自衛隊への)批判がかわせるとの思惑もちらつく」(同6月28日付)と難癖を付けた。同年9月の東京都総合防災訓練に自衛隊は初めて本格参加したが、これには「『防災に名を借りた軍事演習』との批判の声も上がった」と書き、「備えは自衛隊 憂いあり」と自衛隊を貶(おとし)めた(同9月4日付)。

03年に有事法制が成立すると、木村伊量政治部長(後の社長)は「戦場と化した街や山野を、(自衛隊の)戦車がわが物顔で走り回るための『パスポート』であってはならない」と居丈高に書き、侵略する外国軍隊には一言も触れなかった(同年6月7日付)。

事例は枚挙に暇なし

04年にイラクの人道復興支援に自衛隊が派遣されると、朝日は「声」欄に「兵士の墓標」のイラストを載せ、ひんしゅくを買った(同年2月1日付)。同年7月の自衛隊創立50年では「『軍隊でない』を誇りに」との異様な非軍論を展開した(同6月30日付社説)。

国際海洋法は「軍艦は適用外」と定め、一般船のルールを適用しない。自国領海では軍艦に優先航行権を与えるのが世界の常識だが、わが国では一般法を適用する。これも「希」である。潜水艦「なだしお」事故(1988年)やイージス艦「あたご」事故(2008年)ではそうした問題が露見したが、朝日はこれを棚上げにして自衛隊を無法呼ばわりした。こんな事例は枚挙に暇(いとま)がない。

自衛隊70年では朝日は「積み上げた信頼こそ礎」との社説を掲げた(2日付)。しらじらしいとはこのことだ。自衛隊が信頼を積み上げてきたのは朝日と真逆のことを行ってきたからだ。とすれば、次なる信頼は朝日が言う「軍隊でない」の真逆、「軍隊にする」ことによって得られるに違いない。それが世界から「希」と訝(いぶか)しがられる古希の自衛隊の課題と思われてならない。(増 記代司)

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