トップオピニオンメディアウォッチ自公、共産「沖縄県議選」機関紙に表れた力の入れよう 

自公、共産「沖縄県議選」機関紙に表れた力の入れよう 

記者団の取材に応じる沖縄県の玉城デニー知事=6月17日午後、同県庁
記者団の取材に応じる沖縄県の玉城デニー知事=6月17日午後、同県庁

過半数割れも基地問題は拮抗

任期満了に伴う沖縄県議選が16日、投開票された。自民党、公明党、日本維新の会などの県政野党が改選前から4議席増やして過半数を獲得。議会の勢力図が逆転し、玉城デニー知事と、知事を支え米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」にとって厳しい結果となった。

7日の告示以降、各政党機関紙の中でも、日刊紙である公明党の「公明新聞」と共産党の「しんぶん赤旗」は連日選挙戦の様子を伝えていた。党幹部が告示直後から続々と沖縄入りするなど力の入った選挙戦が紙面にも表れていた印象だ。派閥・裏金問題で逆風が吹く自民は対照的だ。選挙期間中の週刊機関紙「自由民主」は候補者の名前や写真を載せることもなく、「22人の公認・推薦候補者が立候補した」と伝えるにとどまった。

改選前の7議席の維持を目指した共産は、8日付1面トップで「平和・暮らし・自民党さよならの声を日本共産党への1票に」の見出しで告示を伝え、応援演説に来た志位和夫議長と候補者が並んだ写真を掲載。田村智子委員長ら党幹部が訪れた翌日の9、15、16日付もトップ記事だった。いずれも「7氏必勝」「7氏勝利」「7氏全員必勝」「7氏全員勝利」と見出しに取り、そのほかの日の1面には選挙ボランティアの様子や有権者の声などを載せた。中面でも演説などを詳報した。

赤旗の紙面を見ても力が入っている印象は受けるが、公明新聞はそのさらに上をいっている。13日付以外は毎日、1面に4人の候補者の顔写真を載せただけでなく、沖縄市区の高橋真氏と浦添市区の松下美智子氏については「タカハシ、まつした重大局面」「タカハシ圏外の危機 まつした浮上できず」「タカハシ、まつした“あと一歩”」など必ず見出しに名前を入れ、「当落線上の大接戦」を印象付けた。

どちらの紙面も県議選の重要性を強調し党員を鼓舞するものにはなっているが、お付き合いで購読しているような党員以外の層まで候補者の顔と名前が訴求したのはおそらく公明だろう。投票行動に影響したかは分からないが、高橋氏は定数5のうち3位、松下氏は定数4のうち3位で当選を果たした。

開票結果を伝える紙面にも触れておきたい。自民は「自由民主」6月25日号の2面で「公認候補20人全員当選」「自民中心の勢力16年ぶりに過半数獲得」と伝えた。「玉城県政からの立て直しを求める多くの県民からの支持が寄せられ、わが党は(中略)快挙を果たすことができた」とし、2年後の知事選への決意を述べた。

公明新聞は18日付1面カタで「公明完勝」「那覇市・南部離島は過去最高票」と勝利を強調。赤旗は18日付1面の右下で「4議席」と「デニー知事与党過半数割れ」を見出しに取り、自民に対して「徹底した自民党隠しや県政問題に絞った攻撃」を行い、「異常なテコ入れで企業・団体ぐるみ選挙を展開」したと批判した。

今回の選挙で県政与党が過半数を割り、玉城氏は厳しい県政運営を強いられる。ただ全国的にも注目度が高い米軍普天間飛行場の移設に関しては、公明党沖縄県本部が移設反対の立場を取っていることから、反対派と容認派が24議席ずつで同数になる。採決の際は議長が加わらないため1票差で容認派が上回る可能性が高いが、欠員が出れば簡単に情勢は変化する。両者とも油断できない状況が続きそうだ。

(亀井 玲那)

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