
「嫌われ」が大前提に
東京都知事選(7月7日投開票)が始まった。早々に掲示板ジャックが話題となり、選挙制度のスキを突いたパフォーマンスに目が集まり、そのやり方に有権者の怒りさえ噴出している。何かと話題の尽きない選挙となりそうだ。
その中でやはり注目がいくのが“有力候補?”の小池百合子知事と蓮舫前立憲民主党参院議員の2人の女性である。告示前に原稿を締め切った週刊誌は掲示板ジャックなど知る由もなく、ともかくこの女性たちに焦点を合せた。
週刊新潮(6月27日号)は「だから『小池』『蓮舫』は嫌われる」という刺激的見出しで読者の目を引く。「嫌われ」ているという大前提の記事だ。小池氏を最も嫌っているのは学歴詐称で刑事告発したかつての側近「小島敏郎元『都民ファーストの会』事務総長」である。
「小池さんは思想信条のない人だと言い続けてきました」「『専制政治』、これが『女帝の都政』です」と、小池氏と一緒にやってよほど懲(こ)りたのか、けちょんけちょんにこき下ろしている。うそは良くないもののアラビア語や遠い中東のカイロ大学など知る日本人などいないだろうと高をくくって出した「カイロ大首席卒業」の学歴が、逆に経歴に大きな傷となった。
ただ、この1点で小池氏という人物の全体を計るのは少し酷だ。実際の政治手腕、政治実績を論じるべきで、「一事が万事」とばかり、全否定するのもどうかと思う。
警察側の思惑・忖度も
だが、その「一事」が選挙に関わってくると話は別である。やはり小池氏と関わって懲りた人物の一人「若狭勝元東京地検特捜部副部長」は小池氏、蓮舫氏ともに「公職選挙法違反」はいただけないと指摘する。
「まず蓮舫さんは、今月2日、有楽町の街頭演説で『七夕に予定されている東京都知事選に立候補します』と話していますが、これは公職選挙法が定める事前運動禁止に違反しています」と指摘する。この件を追及する声は多いのに警察も選挙管理委員会も注意していないのが不思議だ。選挙後に摘発に入ることはよくあるが、この“明白な”公選法違反がそのまま見過ごされるのかどうかは、留意しておかねばならない。
一方、小池氏にも違反があると若狭氏は指摘する。「都内の8割の首長に働きかけ、それらの名で出馬要請文を提出させた疑いがあり、これは公務員の地位利用による選挙犯罪に当たる可能性が高い」という。知事の地位を利用して都下の首長に自分を推薦させたというわけだ。
選挙違反の摘発は確認された全てが行われるわけではない。目に余るものから優先順位が付けられて処理されていくが、中には見せしめ、懲らしめの要素が入るケースもある。警察は認めないだろうが、物理的に全部処理できない中で、どれ(誰)を選ぶかで忖度(そんたく)も働けば、警察側の思惑も入る。
4年間の「罰ゲーム」
さて2人は奇(く)しくも「キャスター出身」だが、アナウンサーの先輩からは厳しい指摘が飛んだ。「吉川美代子キャスター」である。蓮舫氏の話し方は「相手を納得させる話し方ではありません」とバッサリ。額に青筋、首にも筋を浮かべて、相手を鋭く批判する。「そうじゃないですか」と強引に同意を求める。どう見ても好まれる話し方ではない。一方、小池氏も「なんだか言葉遊びをしているようで心に響かない」「言葉を弄ぶ」と厳しい評価だ。だから何も専門家に指摘されるまでもなく、この2人の話し方に難があることは有権者、庶民はよく知っている。
コメントを寄せた中で最も納得がいったのが「村西とおるAV監督」の言葉だ。「小池センセイは3選間違いなし」とした上で、「もはや静かに『自分たちの器量以上の政治家は持てない』という格言を噛みしめて、そっと目を閉じ今後の4年間を罰ゲームだと思って過ごすしかありません」としている。「罰ゲーム」とは言い得て妙だ。これらの政治家の跋扈(ばっこ)を許してきたのはまさに有権者自身である。4年後には有権者の「器量」が上がっていてほしいものだ。(岩崎 哲)