
丁寧に「改憲」尋ねる
先週の憲法記念日の3日、朝日の世論調査に感心させられた。いささか怪しい質問もあったが、概(おおむ)ね丁寧に「改憲」について聞いていたからだ。当の朝日が調査結果を素直に報じていなかったので同日付紙面から紹介したい。
まずはこの質問から。「自民党は国会で、今年から憲法改正について具体的な条文づくりを進めることを、他の政党に提案しています。国会で憲法改正の具体的な条文づくりを進めることに、賛成ですか。反対ですか」。これには賛成59%で、反対30%をダブルスコアで圧倒していた。国民は単なる改憲論議でなく、条文づくりを求めているのだ。
次いで9条について。「憲法第9条を変えるほうがよいと思いますか。変えないほうがよいと思いますか」。こちらは変えない方がよいが61%で、変える方がよいの32%を凌駕(りょうが)していた。
ただし、これに続けて次なる質問があった。「自民党は、憲法9条の1項と2項をそのままにして、新たに自衛隊の存在を明記する憲法改正案を提案しています。こうした9条の改正に賛成ですか。反対ですか」。これに対して賛成は51%に上り、反対は40%にとどまった。
これは何を意味するのか。9条護持の61%のうちの3分の1が自民党改憲案(すなわち自衛隊明記)の賛成に回ったことを示している。それでここでは9条改正賛成派が32%から51%に跳ね上がったのだ。
朝日によれば、前問は2013年から郵送による毎年の調査で聞いているそうだが、自民党が加憲案を示している以上、もはや愚問と言うほかあるまい。世論調査でやってはいけない「ダブルバーレル」(一つの質問に二つの論点が含まれていること)に陥っているからだ。9条改正反対は40%が正解だろう。
9条では平和守れず
朝日調査はさらに「『いまの憲法9条では、日本を防衛するうえで支障がある』という意見に共感するか」を問うている。これには「共感」(大いに、ある程度を含めて)が59%で「共感しない」(同)の37%よりはるかに多かった。9条では平和を守れないとの認識が広がっているのだ。
こうした9条への質問の後に改憲か護憲かを改めて問うている。それには改憲53%、護憲39%で、改憲派多数は不動だった。改憲に賛成する理由で最も多かったのは「国防の規定が不十分だから」で、「古くなったから」が続いていた。
さらに自民党の緊急事態を巡る改憲案についての質問もある。「緊急事態を受けて、国会審議を経ずに内閣が法律に代わる政令を出して、国民の権利を一時的に制限できるようにする」=憲法を改正して対応すべき49%、その必要はない41%。「緊急事態で選挙が行えない場合、国会議員の任期を延長できるようにする」=憲法を改正して対応すべき51%、その必要はない41%。ここでも改憲派が多数である。このように朝日世論調査は自民党改憲案への支持がいかに多いかを自ら証明して見せたのである。朝日あっぱれ、と言うべきか。
「神話」守る偏向報道
ところが、である。これを報じる朝日3日付には首を傾げてしまった。1面に「9条改正『反対』は61%」の見出しで「憲法9条改正の是非は『変えるほうがよい』が32%、(昨年は37%)、『変えないほうがよい』が61%(同55%)だった」と記していたからだ。「ダブルバーレル」の質問結果を臆面もなく大きく報じているのだ。それほどまでして「9条神話」を守りたいのか。これを偏向報道と言う。
朝日の世論調査結果を素直に報じるなら「自民党改憲案への賛成多数 9条改正で自衛隊明記、緊急事態条項も」といった見出しが相応(ふさわ)しい。そういえば、昨年の当欄でも「『改憲』優勢の世論調査を護憲が勝るかのように編集する朝日」について書いていた。朝日の懲りない面々よ、同じことを何度、言わせるつもりなのか。(増 記代司)






