トップオピニオンメディアウォッチ防衛装備品「歯止め」の成果強調  公明新聞

防衛装備品「歯止め」の成果強調  公明新聞

自公合意後も扱い大きく

政府は3月26日、防衛装備移転三原則の運用指針を改定した。これまで認められていなかった、国際共同開発した防衛装備品の第三国輸出が可能になる。2022年末に国家安全保障戦略に明記された運用指針の見直しがようやく完了した。

ただし、今回の見直しで輸出可能になったのは、日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機だけだ。新たに国際共同開発が行われる場合にはその都度、与党による協議が必要になる。また輸出先についても日本が「防衛装備品・技術移転協定」を締結している15カ国に限られ、戦闘が行われていると判断される場合は認められない。

開発相手国以外の第三国への輸出の道が開かれたという意味で大きな一歩だが、依然として制約は多く、どちらかというと原則禁止されている状態に近い。これまで日英伊の共同開発計画に関心を示していると報じられた国の中には、日本と移転協定を結んでいない国も含まれるため、諸外国の反応を注視する必要がある。

指針見直しに至るまでの与党協議が長引いた背景には「平和の党」を掲げる公明が態度を硬化させたことがあり、強気な姿勢は党機関紙「公明新聞」にも表れていた。協議が行われている間もたびたび大きく扱っていたが、合意後も特集や識者インタビューを掲載、「成果」を強調している。

例えば4月3日付3面では、指針の見直しの背景と概要をQ&A形式で解説し、「輸出が紛争を助長しないか」との問いに対して「平和主義を貫くため公明の主張で歯止め」と答えている。9日付と13日付の1面にはそれぞれ笹川平和財団の渡部恒雄上席フェローと拓殖大学の佐藤丙午教授へのインタビューを掲載。「公明が国会論戦で課題を『見える化』、国民理解促す」(渡部氏)との評価を取り上げた。

22日付では1面トップで党のユーチューブチャンネルで配信された動画を紹介し、見出しを「無制限の拡大に『歯止め』」とした。識者の「公明が主導したから実現」(小川和久静岡県立大学特任教授)「厳しい縛り、公明の指摘で」(作家・佐藤優氏)といった識者の言葉も大きく掲載した。

開発した防衛装備品が侵略行為に加担しないため監視が必要なのは当然のことだが、公明が実現した「厳しい縛り」が国際社会全体の平和に資するのかは疑問符が付く。いささか「成果」を強調し過ぎではないか。

(亀井 玲那)

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »