トップオピニオンメディアウォッチ【政党メディアウォッチ】「離島振興策」野党が強調 補選を機に改めて浮上

【政党メディアウォッチ】「離島振興策」野党が強調 補選を機に改めて浮上

有人国境離島法で住民向けの運賃補助制度などの対象となっている特定有人国境離島地域
有人国境離島法で住民向けの運賃補助制度などの対象となっている特定有人国境離島地域

継続して国民に啓発を

現在行われている衆院補欠選挙を機に、離島振興策が改めて重要政策として浮上している。選挙戦の舞台となっている長崎3区には152の島々からなる五島列島のほぼ全域と、壱岐・対馬が含まれており、多くの有権者にとって離島振興策は生活に直結する問題だからだ。

長崎3区で候補者を擁立したのは立憲民主党と日本維新の会。これまで連続で議席を獲得してきた自民党が早々に不戦敗を選択したことから、選挙戦の構図は前回までと大きく変わった。前任議員は有人国境離島法を成立させるなど離島振興策に力を入れ、離島住民からも支持を集めていた。後任を選ぶ選挙で絶対に無視できない課題である。

立憲民主党機関紙「立憲民主」4月19日号では、国会の動きを報告する2、3面に、物流問題や介護支援とともに離島政策が登場した。「『国民の暮らしを守る』国会論戦に挑む」と題したページの中に「離島の経済を活性化する」という項目がある。離島の人口減少と高齢化は全国平均と比較しても「厳しい状況」だと指摘し、交流人口を増やすことで島内経済活性化を図るとした。

立民は補選の告示前の12日に有人国境離島法改正案を衆院に提出した。島民だけでなく島を訪れる旅行者らにも離島への運賃割引制度を適用することを求めるもので、今回の補選に立候補した同選挙区の比例選出議員が筆頭提出者になっている。このタイミングでの法案提出は選挙へのアピールの意味合いが強いが、選挙区内に島がある議員らで構成された島政策を話し合うプロジェクトチームを復活させるなど党として力を入れていく意識も見られる。

日本維新の会は安全保障の観点からの訴えが主だ。同党の公式X(旧ツイッター)は、音喜多駿政調会長が「離島防衛のためには自衛隊をはじめとする安全保障を支える方々を政治がさらに支えていかなければならない」と話す街頭演説の動画を載せ、「安全保障政策について、強い決意をもって取り組むことが重要」とした。音喜多氏は自衛隊の待遇改善や、改憲で憲法に自衛隊を明記し国民の生命と財産を守ることの重要性を強調した。

離島振興に関する主な法律として、1953年に制定された離島振興法と、2017年4月に施行された有人国境離島法がある。どちらも10年の時限法で、離島振興法は制定以来10年ごとに改正、延長されてきた。有人国境離島法は現在施行から8年目で、期限まであと3年を切っている。長崎の地元メディアは現在の支援がこの先も続くのかという住民の不安の声を取り上げている。

国土交通省のホームページによると、離島振興法はもともと「(離島の)後進性の排除や島民生活の向上」などを目的に制定された。それから70年以上がたち、周辺国が覇権主義を強める現在、離島振興は安全保障上も重要な意味を帯びている。地域住民や地元議員だけでなく国民全体で関心を持っていくべき問題だ。

今回の選挙戦で立民、維新がアピールしている離島振興策はそれぞれ地域経済、安全保障に偏っている。どちらも欠かすことのできない観点であり、間違いなく必要な政策だが、これだけでは将来的な政権獲得を目指す党としては物足りない。今後、離島振興策を深め、その重要性を国民に啓発していけるかに党としての真価が現れるだろう。

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