「衆院3補選」 1面で候補者紹介した立民 自民はダメージ減らす戦い

4月に衆院のトリプル補欠選挙(28日投開票)が行われる。自民党の裏金事件が明るみに出てから初めての国政選挙で、支持率低迷に直面する岸田内閣・自民党にとってはいかにダメージを小さくできるかの戦いだ。

選挙区は東京15区、島根1区、長崎3区で、4月16日の告示まで既に1カ月を切っている。中でも島根は昨年11月に死去した細田博之前衆院議長が11連勝してきた「保守王国」。現時点で自民が唯一候補者を擁立している選挙区だが、細田氏が裏金事件の震源地である安倍派の会長を務めていたこともあり、逆風は強い。

自民からは元中国財務局長の新人・錦織功政氏(54)が立候補する。立憲民主党は知名度の高い亀井亜紀子前衆院議員(58)の擁立を決め、国民民主党も同氏を支援すると発表した。共産党は当初新人候補の擁立を予定していたが、18日にこれを取り下げ、亀井氏への自主的な支援に舵(かじ)を切った。野党第1党を目指す日本維新の会は独自候補の擁立を模索するが、与野党一騎打ちの構図がほぼ確実になっている。

自民機関紙「自由民主」は2月6日号の2面で錦織氏の公認を報告。党大会を特集した3月26日号の最終面(12面)で「勝利への賢明な活動」を紹介した。党大会が開かれた17日にも錦織氏は地元で支持を訴えたといい、記事では「地方に寄り添って政治を行うわが党は、この島根1区で公認した、にしこり氏の勝利が不可欠」と激励した。ただ、扱いは小さい記事にとどまっている。

一方、立民機関紙「立憲民主」は3月15日号の1面で、亀井氏と長崎3区に立候補予定で比例九州の山田勝彦衆院議員(44)の写真を並べ、「自民党の金権政治にNOを!」と見出しを付けた。亀井氏は島根県で長年、自民党の男性議員が議席を獲得してきたことについて「政策に偏りが出て、結果として有効な政策が出てこなかった」とし、自身が女性の野党議員である点を強調した。これは他の野党の応援を意識したものだろう。

共産機関紙「しんぶん赤旗」は19日付に小池晃書記局長の会見の記事を掲載。立民と協議などをしてきた結果、「野党連携で勝利したいとの意思が確認されている」「日本共産党としては公認候補を擁立せず、亀井さんを自主的に応援する」との言葉を伝えた。

対決構図がほぼ固まった島根では、20日に自民、立民両党の幹事長が現地入りするなど既に前哨戦が始まっている。一方、東京15区では自民、立民の動きが鈍い。維新、共産は新人の擁立を決めており、小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会への警戒感も漂う。

東京15区の補選は、昨年4月の江東区長選を巡り、公職選挙法違反で今月22日に買収などの有罪が確定した柿沢未途前法務副大臣(自民離党)の辞職に伴うもので、自民には島根以上の逆風が吹く。自民都連は候補者を公募する方針は決めているものの、選定は進んでいない。

長崎3区も、裏金事件で自民を離党した谷川弥一元衆院議員の辞職がきっかけであることに加えて、仮に当選しても次期衆院選で「10増10減」によって候補者調整が必要になるため自民不戦敗の可能性が高まっている。

候補者の擁立具合を見ても機関紙での扱いを見ても自民は立民をはじめとする野党よりも遅く、勢いも弱い。いずれの選挙区でも「政治とカネ」が最大の争点になるのは避けられず、補選が始まるまでに岸田政権と自民党がどれだけ国民の信頼を取り戻せるかに懸かっているだろう。

(亀井 玲那)

spot_img
Google Translate »