トップオピニオンメディアウォッチ「異次元緩和」転換に高評価の保守系紙、慎重な朝日、独自視点の本紙

「異次元緩和」転換に高評価の保守系紙、慎重な朝日、独自視点の本紙

マイナス金利を解除

20日付読売「経済好循環への環境が整った/利上げの影響には目配りが要る」、朝日「物価安定実現への責務確認を」、毎日「国・企業はぬるま湯脱却を」、日経「『異次元緩和』脱却を成長の好機に」、産経「脱停滞への重要な一歩だ/『金利ある世界』の対応万全に」、東京「暮らし優先の舵取りを」、22日付本紙「もっと早くにできなかったか」――。

日銀が大規模金融緩和策の一環として実施してきたマイナス金利政策の解除を決めたことを受け、各紙が掲げた社説の見出しである。金融政策の大きな転換であり、17年ぶりの利上げとなるだけに、東京を除く5紙が通常2本建ての枠に1本のみの大社説。

列挙した通り、論調は、保守系紙では「成長への好機」などと成長を促す前向きなものが主だったのに対し、リベラル紙は物価安定や暮らし優先にと注文を付ける慎重なものなどに分かれた。

株式では34年ぶりに最高値を更新し、春闘では昨年が30年ぶり、今年は33年ぶりの賃上げとなるなど、ようやく右肩上がりの経済に戻るかどうかという時。金融も超緩和状態から正常化に歩み出すだけに、やはり、前向きな論調の方が気持ちいい。

産経は「この決定が意味するのは、日本経済が長期停滞を脱して本格的な成長力を強化していく可能性の高まりだ」と、やっと訪れた喜びをこう表現する。

日経も見出しの通り、「今回の決定を好機ととらえ、民間の活力を高めて成長の底上げにつなげたい」と今後への期待が熱い。読売も見出しでは十分前向きなのだが、産経や日経ほど力のある言葉がなく、やや物足りなさが残った。

金利ある経済の一歩

保守系紙には、リベラル紙が強く指摘する「金利のある世界」でのマイナス面、すなわち利上げによる家計や中小企業などへの影響にも丁寧に言及している。

ただ、これも日経が指摘するように、今回の政策変更は「『金利のある経済』の第一歩にすぎず、経済活動への直接の影響は小さい」「ただし利上げがゆっくりと進めば、住宅ローンや企業向け貸出金利も上がり始めるだろう。家計も企業も新しい環境に備えていきたい」とするのが妥当だろう。

リベラル紙では、毎日が異次元緩和の問題として「政府や産業界が超低金利環境に甘え、必要な改革を先送りしたこと」を挙げ、今回の政策変更をきっかけに「ぬるま湯」から脱却する覚悟が求められるとして、「政策転換そのものは妥当だ」と評価した。

これに対し、朝日は「(2%の物価)目標の実現に向けてはなお様々なリスクがある」、東京も「日銀の見立てに異論はないが、国内の経済情勢に目を向けると不安材料も山積している」と慎重な見方を示す。「円安で拍車がかかる物価高は収まる気配がない」(東京)、「物価高で弱含んでいる個人消費が、今後の賃上げで下支えされると日銀はみているが、その通りになるか」(朝日)などというわけだが、どうなるか。

増税の影響軽く見た

「もっと早くにできなかったか」と独自の視点を示したのは本紙。ここ2年の大規模緩和の継続が、米欧の相次ぐ利上げから過度な円安と異常な物価高を招いた大きな要因でもあったからで、「3度の一部修正を含め、もっと早く実施できていれば、これほどの物価高にならずに済んだのではないか」とした。

ところで、大社説を掲げた5紙とも、異次元緩和が当初、過度な円高を修正し、株高や企業業績の改善をもたらすなど一定の成果を挙げたが、2年程度で達成するとした2%の物価目標は達成できなかったとし、朝日は「見込み違いだった」と批判した。

確かに見込み違いだが、それは黒田東彦総裁(当時)を含め、各紙が支持した消費税増税(2014年4月実施)の景気への悪影響を軽く見たからで、各紙も見込み違いをしていたことは指摘しておきたい。

(床井明男)

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »