トップオピニオンメディアウォッチ新NISAスタート、日本の真の「投資元年」と持ち上げるエコノミスト

新NISAスタート、日本の真の「投資元年」と持ち上げるエコノミスト

株価の変動のイメージ’(pixabay)
株価の変動のイメージ’(pixabay)

株価にプラスの影響

今年1月から鳴り物入りで始まった新NISA。書店などでは関連の特設コーナーが設けられ、テレビでも特集番組が組まれほど注目度が高い金融制度。若者からお年寄りまで個人を対象にした「資産形成のための強力な助っ人」といったフレーズが目立つのが新NISAである。

そんな新NISAを経済誌が特集する。昨年暮れには週刊東洋経済(2023年12月16日号)が「新NISA時代に勝てる株」と題して特集を組めば、今年に入ってからは週刊エコノミスト(24年1月16日号)が、「とことん得する新NISA」と題して特集している。

NISAそのものはすでに14年1月にスタートしていたが、今年1月からは新しいスキームの新NISAとして動き出したというわけである。

この新NISAに対して東洋経済は同号で次のように綴(つづ)っていた。「2023年に3万円台に定着し、なお上昇トレンドを続ける日経平均株価。これを支える企業業績に目下、陰りはない」とし、さらに「株価上昇や老後の生活不安の高まりなどから個人の投資意欲は強い。投資枠拡大・恒久化を図る24年初の新NISA導入により、投資拡大に拍車がかかろう。24年には最高値更新も視界に入る」と新NISA 導入が新年以降の株価動向にプラスの影響を与えると見通しを立てていた。

案の定、新年に入った日経平均株価は1月9日に3万3768円18銭と33年10カ月ぶりの高値を更新し、15日には一時3万6000円台の大台に乗せ、その後も3万6000円を超える展開を繰り広げている。

無期限化し枠も拡大

ところで、旧NISAと新NISAはどのように変わったのか。大きな概略の括(くく)りでいうと、一つは口座開設期間の恒久化と非課税運用・保有期間の無期限化。旧NISAでは非課税運用・保有期間は積み立てNISAが20年間、一般NISAが5年間であったのが無期限に変わった。もう一つの点は、非課税となる投資対象枠が拡大したこと。旧NISAでは積み立てNISAが最大800万円、一般NISAが600万円であったのに対し、新NISAでは1800万円と拡大されている。

こうした新NISAに対して、エコノミストは「これまで(旧NISA)は『非課税でお得、ちょっと一発勝負』というイメージもあったが、今回は長期でしっかり資産を育成するという目的を多くの人が持っている」(中野晴啓・なかのアセットマネジメント社長)と指摘しているが、確かに新NISAは投機目的型というよりも個人の資産形成に重点を置いた制度。

さらに同誌は日本の現況と新NISAへの向き合い方を次のように解説する。「2023年は食品から電気代、ガス代、日用品まで周りのあらゆるモノ・サービスの価格が上がった一年だった。いわゆるインフレが起こっている。…銀行の預金金利は0・002%程度。…以前、話題になった『老後2000万円問題』が記憶に新しいが、平均寿命が延びる一方で年金受給額は減少している。…このような現状において、新NISAを利用し、今あるお金もしくは今後入ってくる収入を自身で増やしていかなくてはいけない」(福島理・マネックス・ユニバーシティ室長)として、個人が自ら資産を形成するための「投資」の時代に入っていくことの必要性を訴える。

そうした視点からエコノミストは、「新NISA は従来のNISA 制度を“神改正”」「今年は日本にとって真の『投資元年』」と持ち上げる。

あくまで自己責任で

ただ、“神改正”された新NISAとはいっても資産形成に万能ではないことを十分に理解しておかなければならない。「投資」の類いであるだけに思ったような運用ができずに損を出してしまうこともあり得る。そんな時に「騙(だま)された」などと騒ぐのは愚の骨頂。自らの責任として、最低でも勉強するつもりで取り組むのが最良、というところだろうか。

(湯朝 肇)

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