「自由民主」派閥存廃は本筋ではない

悪しき慣習断つ仕組みを

昨年末に自民党の政治資金問題が表面化し、いまだ収束の気配を見せていない。東京地検特捜部の捜査は複数の国会議員や派閥の会計責任者らを起訴し一区切りとなったようだが、党改革・政治改革はここからが正念場だ。

自民党機関紙「自由民主」は、1月16・23日合併号の1面に岸田文雄首相(党総裁)を本部長とする「政治刷新本部」設置の記事を掲載した。記事では岸田氏の「極めて深刻な状況にあるという危機感の下、一致結束して対応しなければならない」「『政治は国民のもの』という立党の精神に立ち返り、忌たんのない議論を」といった言葉が引用されている。

政治刷新本部は連日、会合を開き、25日には政治改革の中間取りまとめ案を決定。裏金づくりの舞台となった派閥の完全な廃止は見送り、政策集団として「お金と人事から完全に決別する」とした。

これまでに岸田派(宏池会)、安倍派(清和政策研究会)、二階派(志帥会)が派閥解散を決め、森山派(近未来政治研究会)も中間案を受け解散を発表した。麻生派(志公会)と茂木派(平成研究会)は存続の意向とされている。

派閥の存続を許すか全廃に舵(かじ)を切るかは国民の目から見ても分かりやすい議論だ。大きく改革したという印象も与えやすいため、パフォーマンスとしても有効かもしれない。真っ先に元自派閥の解散を宣言した首相は当然、全ての派閥をなくしたいだろう。

しかし、改革の本筋は裏金づくりができない仕組みをつくることだ。自民党は1989年に策定した「政治改革大綱」で派閥の解消や閣僚・党幹部の派閥離脱を掲げたが達成されなかった。今回派閥を全廃したとしても国会議員数370人を超える大所帯では必ず派閥は発生するだろう。

極論を言えば、今ある派閥がすべて存続し環境が全く変わらない場合でも、長年続いてきた悪しき慣習を断ち切れるような仕組みをつくることが重要だ。そのための議論が、派閥の存廃に注目が集まることでないがしろにされないよう、注視していく必要がある。

政治刷新本部の中間案では、派閥の政治資金パーティーや人事推薦の禁止のほか、活動を党本部で行う、法令違反が判明すれば活動休止や解散を求めるなどのルールを打ち出した。政治資金規正法の改正といった法整備についても「速やかに行う」としている。他党の制度案も柔軟に取り入れつつ、中途半端な改革にならないよう努力してほしい。

(亀井 玲那)

spot_img
Google Translate »