最左翼で名高い新聞労連委員長らの言論による批判の域を超えた行動

言論暴力を煽る朝日

朝日記者が琉球新報に移籍して話題になっている。月刊『世界』12月号で「絶望からのメディア論 ―なぜ私は朝日を辞めたのか」の一文を掲載し、朝日を痛烈に批判しているからだ。政治部記者かつ新聞労連元委員長(2018~20年)の経歴を持つ南彰氏である(10月末に朝日退社、現在は琉球新聞編集委員)。

曰(いわ)く、安倍晋三元首相が銃撃された22年7月8日の深夜に参院選報道を仕切っていた先輩デスクが突然、ニタニタしながら近づいてきて「うれしそうだね」と話し掛けてきた。人の命を暴力的に奪う殺人と、言論による安倍政権批判との区別もつかない人物が、報道の中核を担っている状況に慄然(りつぜん)としました―。

確かに慄然とするが、それまでの朝日の安倍批判を顧みれば、「さもありなん」とうなずける編集局風景ではある。「暗殺が成功してよかった」(島田雅彦法政大学教授)「安倍は人間じゃない、叩き切ってやる」(山口二郎法政大学教授)等々の言論暴力を煽(あお)ってきたのが、安倍氏を「敵」とする報道に明け暮れてきた当の朝日ではなかったか。安倍氏銃撃にニタニタする編集幹部がいても驚きに値しない。

南氏が退職した理由もそこにはなく、社論も社内の空気も「朝日らしいリベラルな言論空間」が失われてきたからだという。言ってみれば、権力への対し方への不満なのだろう。左にいれば真ん中も右に見えると言われるが、南氏にとって現在の朝日は左には見えないらしい。なるほど最左翼で名高い新聞労連の元委員長らしい発言である。

違法行動けしかける

新聞労連を巡ってはこんなことがしばしばあった。安倍政権が取り組んだ特定秘密保護法や安保関連法にそれこそ体を張って反対した。14年に特定秘密保護法が衆院委員会で採択されると、新聞労連は首相官邸前で抗議行動を行い、当時の東海林智委員長(毎日新聞)はこう絶叫した(同11月26日)。

「『逮捕者第一号』を競い合うことはしたくないが、この法律が危ないということを知らせなければいけないと思っている。国が作る秘密の中で、国民が、ジャーナリストが自由を奪われ、行き着く先は戦争であると、新聞労連はずっと警鐘を鳴らしてきた。私たちは政府の広報誌にはなりたくない。秘密を書く、これがジャーナリストの仕事だ」

外国のスパイ活動にはお構いなし。書くのが仕事だと言いつつ、暗に逮捕者第一号つまり違法行動をけしかけている。なにせ東海林氏はテロリストで名高いゲバラの信奉者と自称している。島田氏や山口氏同様、言論による安倍政権批判の域を超えているのもそうした信条からか。この発言はネット上の「インデペンデント・ウェブ・ジャーナル」に米倉外昭氏がタグ(掲載)しているのを引用した。

米倉氏とは琉球新報の記者で新聞労連副委員長(12~14年)を務めた、言ってみれば南氏の先輩格に当たる。東北大学の学生時代に共産党系の「東北大学新聞」編集長として学生運動に血道を上げた後、琉球新報に入社。同社労組委員長、新聞労連副委員長を歴任した職業的活動家記者である。南氏は米倉氏とタッグを組んで、朝日で叶(かな)わなかった「夢」を実現しようというのだろうか。

共産社民に沿う主張

ちなみに東海林氏の前任委員長が朝日の豊秀一氏(08年~10年、現編集委員)である。委員長時代にはソマリア沖などで海賊行為が多発したため海賊対処法が成立したが、新聞労連は「相手が制止に従わずに海賊行為を続けようとした場合の自衛隊の武器使用を認めている」と批判し「なし崩しの武器使用基準の拡大は許されない」と猛反対した。共産党や社民党の主張にほぼ沿っていた。

豊氏は現在、朝日の憲法問題の記事をほぼ“独占”的に執筆している。それでも南氏には物足りなかったか。とまれ新聞労連の筋金入り記者が闊歩(かっぽ)していることを自ら示した移籍騒動である。

(増 記代司)

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