イスラエル軍がガザ攻撃でAI駆使、ネットメディアが「暗殺工場」と警告

イスラエル軍の攻撃を受けたガザ地区=12月3日、ガザ地区(UPI)
イスラエル軍の攻撃を受けたガザ地区=12月3日、ガザ地区(UPI)

民間人の被害が急増

イスラエル軍のイスラム組織ハマスに対する攻撃による民間人被害が急増し、国際社会から非難を受けている。10月7日以降の死者は1万5000人を超えた。これについて、イスラエルのニュースサイト「+972マガジン」は、独立系メディア「ローカル・コール」との協力で実施した調査報道で、イスラエル軍が人工知能(AI)による攻撃目標選定を行ったことで攻撃箇所が急増、さらに民間人への二次被害の抑制が後回しになっているとの見方を示した。

+972は、ガザの状況を「大量暗殺工場」と指摘、「非軍事目標への攻撃が許可され、AIシステムが使用されることで、イスラエル軍はガザ地区への攻撃でかつてない規模の死者を出している」と訴えた。

+972は2010年に設立され、「独立系、オンライン、非営利のマガジンであり、パレスチナ人とイスラエル人のジャーナリストグループが運営している」。ローカル・コールは市民ジャーナリズムを推進するヘブライ語ニュースサイトだ。

11月30日付の記事によると、「イスラエル軍は、非軍事目標への爆撃の承認を拡大し、民間人の被害予測に関しての制限を緩和、AIシステムを使用することでかつてできなかったほどの大量の攻撃目標が定められ、これらのことが、ガザ地区での紛争の初期段階での大規模破壊につながったようだ」としている。

イスラエル軍は、10月7日のハマスによる急襲以降、ガザ地区を封鎖、軍事目標であることが明確でない標的にも攻撃を加えてきた。過去の紛争ではあまり標的にならなかった住宅、公共機関、インフラ、高層ビルも破壊されており、これらの標的は「パワーターゲット」と呼ばれているという。

ガザ地区での作戦に関わったことがあるという情報筋によると、その主要目的は、「パレスチナの市民社会に被害を与え、『衝撃を生み出し』、それらが反響を招き、『民間人がハマスに圧力をかける』」ことにあるという。

AIが標的を「生成」

また、イスラエル軍は、ガザ地区内の協力者などからの情報で、地区内の標的となり得る施設などの膨大なデータを保有しており、「ある目標を攻撃した場合に出ると思われる死傷者の数を事前に把握」していると指摘されている。

過去のハマスとの戦闘よりも民間人の被害が多いことについては、過去この作戦で許容されていた民間人の「巻き添え死」は「数十人」だったが、現在は「数百人に引き上げられている」という。

また、それらを可能にしているのは、AIシステム「ハブソラ(福音)」だ。

「ほぼ自動的に、これまでではできなかったスピードで標的を『生成』」しており、これによって、短時間でこれまでにはできなかったほどの大量の標的を選定し、攻撃することが可能になったという。

イスラエル軍が行った攻撃で1日に攻撃を受けた標的の数が急増したのはこれが一因ではないかとみられている。1日に攻撃を受けた平均の標的の数は400カ所超と、2008年以降のガザ地区でのハマスとの衝突と比較してほぼ3倍に増えている。これだけの数の標的を「生成」することは人手では不可能とみられている。

技術売られる懸念も

英紙ガーディアンは+972/ローカル・コールの報道を受けて「自治区での標的の数を増やしたデータ駆動型の『工場』をめぐる懸念」を指摘、英ロンドンを拠点とする中東専門ニュースサイト、ミドルイースト・アイ(MEE)は、「パレスチナで(AI兵器の)実験が行われている」と指摘、「この技術が今後、抑圧的な国家に売られるようになることは間違いない」と懸念を表明している。

(本田隆文)

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