旧統一教会 牧師も関わった強制棄教

解散請求、キリスト者の疑義

結論ありきの「人民裁判」か

月刊「正論」12月号が特集「解散命令請求への疑義」を組んでいる。その中で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する請求について、東京キリスト教神学研究所幹事の中川晴久と、モラロジー道徳教育財団道徳科学研究所教授の西岡力が対談している「政府のやり方がなぜ問題なのか」。中川と西岡はキリスト教徒の論客だ。

弊紙はこれまで解散命令請求について疑義を呈する記事を数多く掲載し、読者に主な疑問点を伝えている。この対談を取り上げるのは、日本の「正統派」キリスト教徒の目に、「異端」と言われる教団に対する請求がどう映るのか、それを伝えることの意義は小さくないと考えたからだ。

「彼らの教義に私は断固反対の立場」とする西岡は、請求に何度も「恐怖を覚えた」と語った。教団には以前から批判があったが、その当時、文科省は「解散命令請求はできない」と繰り返してきた。岸田政権も昨年10月14日、同じ立場を閣議決定した。

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だが、それから5日後には解散命令の要件を、それまでの刑法違反に加えて民法の不法行為を加えて請求に至っている。これに対して西岡は「『何が起きたから解散となったのか』がさっぱり分からない。これでは『人民裁判』です」と言い切る。

宗教審議会の委員に宗教者が多くいたにもかかわらず、「全員、異論を言わず賛成したのも信じられないし、ショックですよ」と困惑を隠さない。さらには質問権行使については真実を知る目的ではなく「はじめから『懲らしめてやろう』『つぶしてやる』という結論ありきで手続きが進められ、それを記事が持ち上げている」「先に『解散命令あり』で宗教を扱う部署の公務員が動いているんです。この執念が恐ろしいですよ」とも。

こうした言葉からは、“宗教弾圧”の矛先がいつ、日本においては少数派のキリスト教会に向かうか分からないという恐怖心がうかがえる。

一方、中川は、スイスのカトリック神学者、ハンス・キュンクの言葉「半分の真実は半分の偽り」を紹介しながら解散命令請求には「隠された真実」があると述べた。その第一は、教団信者に対する拉致監禁下での強制改宗だ。

具体的には、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が関わっただけでなく、「子供を脱会させたいと考える親に拉致監禁のノウハウを指導する牧師」がいたことに触れる。前者については、「強制改宗された元信者を長年にわたって利用し、教団追及の裁判闘争を展開してきたことは全くといっていいほど明らかに」されていない、とマスコミ報道に疑義を呈している。

また、デュープロセス(適切な手続き)の観点から、「拉致監禁で出てくる証言など証拠能力に欠ける」とし、「(文科省が)解散命令請求の調査段階で全国弁連に協力を仰ぐなんてありえません」と嘆く。

中川の発言が貴重なのは、「異端の動きを二十五年間ウォッチ」し“潜入取材”も敢行した上、全国弁連の集会に参加したこともあるからだ。全国弁連界隈で聞く教団についての話と、強制棄教されなかった「自然脱会者」から聞く話との間に「ギャップがありすぎる」と指摘。そこから「教団が悪いにしたって実際は一くらいの悪さが、十くらいの悪辣極まる話に膨らんだり、盛られて」、教団に対する「『ひどい』『怖い』といった虚像がすっかり作りあげられ」たのであり、解散させなければならないほど「悪い教団とは思えません」と断言する。

そして「基本的にみんな旧統一教会が嫌い」で、感情的には「つぶれてしまえ」ぐらいに思っているキリスト教会であっても、宗教者としては「もっと公平に見る必要があると強く思う」と訴えた。西岡と中川はともにキリスト教徒だけに、解散命令請求に疑義を唱える言葉は重い。(敬称略)

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