民衆を煽り世論を誘導する朝日オピニオン面 終戦直後から続く手法

「輿論の世論化」指摘

オピニオンとは「意見」「見解」のことである。新聞にはその紙面があり、いわゆる社のお気に入り、あるいは社の見解に沿った識者を選び出し、それをもって「世論」を形成する先兵とする。昨今の新聞、ことに安倍晋三元首相銃撃事件後の旧統一教会(世界平和統一家庭連合、以下教団)やLGBT法を巡る新聞報道ではそうした傾向がより顕著になったように思われる。

メディア論が専門の佐藤卓己・京都大学教授は、戦前は「輿論(よろん)」(公的意見)と「世論」(ポピュラーセンチメンツ=民衆感情)と区別していたが、日本戦後史は“輿論の世論化”に他ならないと指摘している(『輿論と世論 日本的民意の系譜学』新潮社)。オピニオンが民衆感情を煽(あお)っていると考えてよい。

朝日11日付のオピニオン面がまさにそうだった。教団を巡って「解散請求 残された課題」と題する3人の識者の見解が載ったが、いずれも反教団の“活動家有識者”である。教団をカルトと断じてきた宗教学者の櫻井義秀氏、「裁判闘争」を担ってきた全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長の川井康雄氏、消費者庁の「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」の委員を務めた元衆院議員(弁護士)で、文字通りの当事者である。

朝日3日付のオピニオン面もそうだった。こちらは「家庭に入り込む極論」と題する識者の見解で、脱カルト協会理事や文筆家、公認心理師が登場するが、その中で公認心理師が宗教2世は「家族教」の被害者で、「親の思いや愛情を疑ってはいけない、子どもは親を大切にすべきだといった『親子愛』というイデオロギーの犠牲者」と断じていた。ひょっとしてタイトルにある「極論」とはこのことかと思えるほどの反家族論であった。

「朝日好みの文化人」

毎日の場合、15日付オピニオン面「論点」で長年、教団と対峙(たいじ)してきた元共産党員のジャーナリスト、有田芳生氏と信者の脱会支援の経験がある牧師、小林聖氏の二人に教団の解散命令請求について述べさせている。ちなみに月刊『正論』12月号で牧師や大学教授らが「解散命令請求への疑義」を語っているが、こうした異論は朝日や毎日のオピニオンに登場することは全くない。彼らのオピニオン面はあくまでも社論を正当化し、かつ世論(民衆熱情)を誘導するものなのだ。

この手法は終戦直後から朝日が盛んに使ってきた。戦後の最初の政治課題となった連合軍の軍事占領から主権をいかに回復するか、いわゆる対日講和問題で日本共産党は「全面講和論」(ソ連の主張=共産国を含めた講和)を国民世論に誘導するために1948年秋、進歩的学者ら約50人をもって「平和問題談話会」を結成した。

朝日はそれに歩調を合わせ49年12月に有識者調査「『講和』をどう考える」を行い、その結果、86人中、全面講和59%、単独講和21%、その他20%だったと報じ、全面講和論を支持した。この報道手法を社会心理学者の辻村明氏(東京大学名誉教授)はこう指摘している。

「こういう恣意的な選ばれた有識者は、朝日好みの進歩的文化人が多いですね。つまり、進歩的文化人の調査で、世論操作の最初の伏線を張るわけです。その進歩的文化人の全面講和論を伏線にして、社説で全面講和論をぶつ」(『新聞のすべて』高木書房=1975年刊)

国家に役立ったのか

十年一日、いや七十有余年一日である。オピニオン面を使って世論操作の最初の伏線を張る。その“活動家有識者”の反教団論を伏線にして社説で反教団を唱える。全面講和論では50年3月から翌51年10月までの1年半に実に50本の社説を掲げたが、教団に関する社説も二桁を数えた。朝日が張った論陣で国家に役立ったものが何かあったか。残念ながら思い当たらない。

(増 記代司)

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