日韓25年、反韓・親北論調で共同宣言の精神を壊した左派紙の偽善

日韓親善推進唱える

10月に左派紙がそろって「日韓25年」を論じる社説を掲げた。東京、朝日、毎日の3紙である。読売、産経、日経にはない。左派紙にとって日韓25年に何か特別な意味があるのか、思い当たらないので社説に目を通すと、次のようである。

1998年10月に金大中韓国大統領が訪日し、小渕恵三首相(いずれも当時)との間で「21世紀を見据えた未来志向の日韓共同宣言」を発表した。それから25年を経て「関係をさらなる高みへ」(東京7日付)、「学び高め合う関係築け」(朝日9日付)、「『未来志向2・0』を目指す時」(毎日12日付)と日韓親善の推進を唱えている。

ちなみに毎日の言う2・0とは、ソフトウェアを「バージョン2」へとアップさせることを言うから、随分な力の入れようである。もとより日韓親善に異論はない。が、なぜ左派紙がそろいもそろって日韓親善なのか、腑(ふ)に落ちない。

当時、「日韓パートナーシップ宣言」は新しい時代を予感させ、日韓双方に希望を与えたが、その後に躓(つまず)いた。朝日社説は「(98年の)首脳同士の重い決断をもってしても、日韓関係の完全な改善に至らなかったことを思い起こしたい。とくに共同宣言が乗り越えようとした歴史をめぐる問題では対立が繰り返された」とし、「共同宣言の精神を遂行できなかった政治の責任は重い」と言っている。

いやはや驚いた。泥棒、いや朝日にも三分の道理とはこのことかと思わせた。歴史問題をもって共同宣言の精神をぶち壊したのは他ならない朝日自身である。その代表例が今では誰もが知っている「吉田虚偽証言」だろう。

訂正・謝罪ない朝日

朝日は1982年9月2日付朝刊で、吉田清治氏(本名、吉田雄兎)が韓国・済州島で200人の韓国人女性を強制連行したと証言し、3年間で強制連行した朝鮮人慰安婦は950人に上ると報じた。これは真っ赤なウソで、その後、吉田氏自身が「金儲けのための詐話」と偽証を認めた。

ところが、朝日は「吉田偽証」を90年代以降も執拗に取り上げ、あたかも強制連行された慰安婦が存在したかのような印象操作を行い、これを韓国側が尾ひれを付けて報道、それを朝日は再び国内で伝える慰安婦キャッチボール報道を演じた。

朝日が「吉田偽証」の一部記事を取り消したのは2014年8月5日付朝刊のことで、それまで虚偽情報を垂れ流し、日韓分断に加担し続けた。ちなみに朝日は一部記事を取り消しても虚報・捏造(ねつぞう)について訂正も謝罪も行っていない。その責任を棚に上げ政治の責任を口にしているのである。

「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)の西岡力・麗澤大学客員教授は21年、「朝日新聞が慰安婦問題に関し捏造報道をして日韓関係を悪化させる契機を作ってから30年」を経たとし、朝日を「日韓関係を悪化させた元凶」と指弾している(産経・同8月25日付「正論」)。東京や毎日も朝日言説に歩調を合わせてきた。それがどの口で日韓親善を唱えるのか。

恥ずべき論調を隠蔽

左派紙が日韓関係を25年間だけ切り取るのは、それ以前の恥ずべき反韓・親北論調を消そうとする隠蔽(いんぺい)工作の類である。戦後長く、朝日の主導で左派紙は韓国を「反共独裁国家」の悪玉、北朝鮮を「人民共和国」の善玉とする「言論空間」をつくってきた。韓国が民主化しても保守政権には否定的レッテルを貼った。

折しも読売24日付が北朝鮮による日本人拉致被害者、原敕晁(ただあき)さんの拉致実行犯が死亡したと報じた。この拉致犯の釈放を求めたのが菅直人元首相ら日本の左派人士だった。産経の阿比留瑠比氏は26日付「極言御免」で、安倍晋三元首相が無役の若手議員時代の99年に国会質問で拉致犯釈放署名を取り上げ、警鐘を鳴らしたと記している。左派紙はこの25年も黙殺している。日韓親善社説は偽善と言うほかない。

(増 記代司)

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