武器取引が本格軌道に

露朝の危険な軍事蜜月

北朝鮮の金正恩総書記が9月、ロシアの極東地域を8泊9日の日程をかけて訪問し、軍事工場などを視察しながら、プーチン露大統領と会談した。

月刊中央(10月号)で高麗大統一融合研究院の南成旭(ナムソンウク)院長は「北朝鮮とロシアの危険な軍事蜜月」の原稿を書いている。南院長はこの中で「金正恩とプーチンの首脳会談は北露武器取引が本格的に軌道に乗るということを意味する」と警鐘を鳴らした。

北朝鮮が現在、最も欲しがっている軍事技術は原子力潜水艦だ。これは「対米交渉地図を変える“ゲームチェンジャー”とみている」という。北朝鮮はこうした技術や部品をロシアや関係国を迂回(うかい)して得るために武器輸出に拍車を掛けるというわけだ。

北朝鮮はこれまで武器技術や部品などを主に朝鮮総連を通じて調達してきたが、「2006年1次核実験後に発効された11件の国連対北朝鮮制裁で(この調達手段は)限界に達した」ため、「調達ルートは米国の監視が不十分な中国、ロシア、パキスタンおよびイランなどへと多様化した」と南氏は述べる。

既に北朝鮮製武器はウクライナ戦争でも使われており、「砲122」の刻印がある残骸も見つかっている。これは北朝鮮製の122ミリ多連装ロケット砲のことだ。北朝鮮はこうした「在来式武器を渡して、原油、各種新武器部品および食料と現物取引を試みている」というのだ。

ロシアは弾薬不足を北朝鮮製で補い、北朝鮮は原潜を手に入れる…。露朝首脳会談はこれが着々と進んでいることを見せつけるものだ。なにより問題なのはそのロシアが国連安全保障理事会の常任理事国だということである。安保理が対北制裁を出しているのに、ロシアが堂々とそれを破っている格好なのだ。

北朝鮮は現在、水中発射ミサイル開発を進めているが、原潜を手に入れれば、大陸間弾道ミサイルに頼らず、米大陸の近くで威嚇することが可能になる。まさにゲームチェンジャーの所以(ゆえん)だ。韓国が核原潜技術を欲しがる切実な理由である。

この状況で急がれるのが「キャンプデービッド精神」の確立である。日米韓3国が「いつでも、どこでも、なんでも」協力可能なホットラインを構築しなければならない。こうした論調が堂々と論じられている。前政権とは隔世の感である。

(岩崎 哲)

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