
憂慮される「疎外感」
サンデー毎日9月10日号、「老後の壁 恐れるな!シニアの孤独」(和田秀樹・ルネクリニック東京院院長)で、和田氏が高齢者の孤独と孤立と疎外感の違いを論じている。
「基本的には物理的に一人でいることが孤独」「高齢者世帯の約半数が独居高齢者という統計があり、現在670万人の独居高齢者がいると推計されている」「年をとっての一人暮らしは、できれば避けたいと考えるのが人情だろう」と。そして「孤独」で往々にしてイメージされるのは「孤独死」。
ただし和田氏は「孤独死というのは、多くの場合、これまで元気だった独居高齢者が心筋梗塞(こうそく)などで急死するケースが多いので、いわゆるピンピンコロリに近いことが多いということになる」「孤独を恐れる人の多くが、今の寂しさには耐えられるが、孤独死だけはごめんだと思っているとしたら、考え直してもいいかもしれない」と概して楽観的だ。
だが「孤立」は違う。「孤独で辛(つら)い思いをしていても、なんら手を差し伸べる人がいなかったり、周囲が無視しているような状態で『孤立』に苦しむ人は、これもかなりの数がいる」。「一人の寂しさや不自由を感じながら、救いの手が差し伸べられない、つまり孤立している高齢者も多くいる現状があるのは、確かなこと」と孤立状態を憂慮する。
「疎外感」となるとさらに深刻だ。「寂しいのに、一人でいるのに、誰も助けてくれない(と感じることも含む)状態が孤立感なら、自分が(わざと)仲間外れにされていると感じる状況が疎外感である」「疎外感から、どうせみんなが相手にしてくれないのなら、人との交わりを断ってしまおうという状態が『ひきこもり』だ」「(仲間外れにされるという)疎外感恐怖は、高齢者の中でも珍しくない心理」と。