【政党メディアウォッチ】自民・公明の東京協力復活

公明、1面全て「自公」

自民は紙面の扱い小さく

岸田文雄首相(自民党総裁)と公明党の山口那津男代表は4日、国会内で会談し、次期衆院選での東京の選挙協力に関する合意文書に署名した。5月に破綻した東京の自公協力が復活することになる。

自民党機関紙「自由民主」と公明党機関紙「公明新聞」はそれぞれこのニュースを報じた。翌5日付の公明新聞は1面の左半分を関連記事に割き、「自公、合意文書に署名」「小選挙区 自民、29区で公明推薦」「首相の申し出が契機に」などの見出しが並んだ。合意文書の内容全文も掲載されている。

東京での協力復活を大きく報じた公明とは対照的に、自由民主は9月19日号の2面左上での扱いにとどまった。記事中では①東京29区で自民が公明候補者を推薦する②公明は残りの小選挙区で個々の事情も踏まえつつ体制が整った選挙区から自民候補への推薦を行う③次々回の衆院選で公明の小選挙区での2議席目獲得を共通目標とする―と説明された。

東京での自公協力解消は、衆院小選挙区の「10増10減」に伴い新設される東京28、29区で、自民が公明への協力を拒んだことがきっかけだった。その際、公明新聞は石井啓一幹事長の発言から「自民の対応、大変心外 誠実な協議と言えず」との見出しを取り、憤りをあらわにしている。石井氏は「信頼関係は地に落ちた」とまで語ったが、3カ月余りで協力関係は復活した。

背景には日本維新の会の存在がある。これまで大阪都構想実現のため公明と協力してきた維新は、4月の大阪市議選、府議選で過半数の議席を獲得したことから、6月に次期衆院選で公明現職のいる小選挙区へ候補者を擁立すると決めた。8月には大阪、兵庫の計6小選挙区で選定を完了し、維新・公明初の全面対決は決定的となった。

自公協力の復活を伝えた公明新聞9月5日付1面の残り右半分は、公明党大阪府本部の会合の様子だった。掲載された写真には、斉藤鉄夫国土交通相の隣に自民の石破茂元幹事長が並んでおり、揃(そろ)って両手を挙げて衆院選勝利を訴えている。見出しは「自公勝利で次代開く」。1面が全て自公協力に関する記事という構成になっている。東京、大阪で共に自公協力を加速させたい党の思惑が滲(にじ)むが、両党からは当然反発の声も漏れ聞こえる。協力の行方はまだ見通せない。

(亀井 玲那)

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