トップオピニオンメディアウォッチH2Aの成功を「日本の宇宙開発を立て直す契機に」と鼓舞する読売

H2Aの成功を「日本の宇宙開発を立て直す契機に」と鼓舞する読売

SLIMの意義強調

各紙が指摘する通り、国産ロケットを巡っては、昨年来、小型の「イプシロン」6号機、H2Aの後継機「H3」初号機の相次ぐ打ち上げ失敗、イプシロン改良型「イプシロンS」の地上試験での爆発事故などと、まさに失敗続き。

読売は、度重なる失敗で宇宙航空研究開発機構(JAXA)の技術力が低下しているのではないかと不安視される事態となっていただけに、「今回、背水の陣で臨んだ関係者は安堵したことだろう」としたが、その通りだろう。

今回でH2Aは41機連続、47回中46回の成功で、成功率は約98%と世界トップクラス。同紙は「日本のロケットが本来持っている信頼性の高さを示すことができたのではないか」と強調する。

ただ、同紙も言うように、旧式で価格の高いH2Aは退役が決まっており、あと3機の打ち上げを残すだけ。「今後、主力を担うH3やイプシロンSの開発がより喫緊の課題であることを認識する必要がある」と気を引き締める。

産経もほぼ同様で、「失敗と事故の原因を徹底的に究明したうえで、H2Aで積み上げてきた成功のエッセンスを後継機に引き継ぎ、改めて国際的な信頼を獲得しなければならない。そこまでが国産ロケットの正念場である」と説く。同感である。

この2紙がさらに意義を強調するのが、小型月面探査機SLIMである。SLIMは目標地点から誤差100㍍以内のピンポイント着陸を目指している。

産経は「この技術を実証、確立すれば誤差数㌔以上とされる先行の4カ国(旧ソ連、米国、中国、インド)に対しても、大きな存在感を示せる」、読売も「成功すれば世界初で、将来の月面開発にも役立つ技術だ。宇宙開発における日本の強みを発揮する好機となるだろう」というわけである。

SLIMは地球を周回後に月に向かい、来年1~2月頃に日本初の月面着陸に挑む。是非とも成功してほしい。

予算・人員の拡充を

一方、朝日は、基幹ロケットがすべて失敗する最悪の事態は避けられたとはいえ、試練は当面続く、とした。

H2Aは高い信頼性を実現したが、国際市場での競争力に限界があること、その後継として低コスト化と性能向上を図ったH3が初号機でつまずいたからで、原因究明に一定のめどが付き、再発防止策の検討に入っているが、「再開の見通しはまだ立っていない」と同紙。宇宙基本計画で示された工程表も後ろ倒しが避けられず、イプシロンSでの爆発事故もある、と。

とはいえ、「見通しがまだ立っていない」としたH3の再開も、今回の成功であとは時間の問題といえ、ここは前向きに捉えたい。

同紙は最後に「計画に見合った予算や人が投じられているのかといった視点での議論も必要だ」と指摘したが、この点は同感であり、一段の拡充を望みたい。

(床井明男)

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »