解散の「可否」から「立証」に
朝日は(たぶん他メディアも)永岡文科相からも井田会長からも直接話を聞いていないのだ。驚いたのはこのことである。朝日7日付は「6日の宗教法人審議会で、永岡桂子文科相が『違反の程度は軽微ではない』として過料手続きをとる方針を説明。審議会も『過料通知は相当』との意見でまとまり、永岡文科相が最終決定した」とするが、文科相の「説明」も審議会の「意見でまとまり」も直接聞いた話ではなかった。おそらく事務方の担当職員からだろう。
朝日は3日付1面トップで「解散 請求の方針 政府、10月中旬で調整」と報じていた。ここでは「政府」「政府関係者」とあるだけだ。この後追いで毎日は翌4日付1面トップで「解散請求へ 首相、年内に判断」と報じたが、こちらは「文部科学省」だ。これらも事務方なのだろうか。
この毎日記事は、はからずも内実を“暴露”していた。それによれば、岸田首相は昨年10月、永岡文科相に「解散命令請求を視野に入れた教団への質問権行使を指示。請求の可否を判断するように求めた」。これを受けて「文科省の外局・文化庁」は「(金銭などの)個別トラブルに教団が組織的に関与していたことの立証を進めてきた」と言うのだ。
これが事実なら重大な疑義が生じる。岸田首相の解散請求の「可否」指示は、いつの間にか「否」が消え「可」の「立証」に擦り替わっている。文化庁の事務方は恣意(しい)的に「解散請求ありき」で動いていることになる。
毎日は「被害者救済に取り組む『全国霊感商法対策弁護士連絡会』の協力も得てヒヤリングを重ねた」とし、9日付社説では「弁護士から資料や情報の提供を受け、被害者らへの聞き取り調査を重ねてきた」としている。文化庁は共産党系弁護士が多数加わる同連絡会(全国弁連)から一方的に資料・情報提供を受けているわけだ。これではまるで全国弁連の手先である。
言論の封殺に等しい
ところで、先の朝日社説は「民主的な統制」が効いておらず「不透明」との疑問を呈したが、天に唾するとはこのことだ。元来、民主的統制とは独裁や多数横暴に陥らず、少数派の意見も聞いて民主主義を機能させることを言う。朝日が「自民一強」批判で盛んに唱えてきたことだ。
それがどうだ。教団の開いた過料に対する記者会見について朝日は9日付第3社会面の1段見出しベタ記事の短報扱いだった。片や1面トップ、片や短報。これでは当事者の一方の言論は封殺されているに等しい。とまれ教団問題では政府も新聞も「独裁」「多数横暴」の共犯である。それが真実を覆い隠し事態を「不透明」に陥れている元凶だ。
(増 記代司)





