世論戦仕掛ける中国
東京電力は先月24日、福島第1原発の放射性物質を含む水を浄化したアルプス処理水の海洋放出を開始した。
中国はこの処理水に「核汚染水」とレッテルを貼り、科学的根拠を示さないまま「海洋環境の安全と人類の生命、健康にかかわる重大問題」と一方的に批判し、日本から全面的海産物の輸入停止にも踏み切った。
中国政府のプロパガンダを真に受けた中国国民からは、被災地の住民などに嫌がらせ電話が相次ぎ、中国にある日本人学校は石やレンガ片まで投げ込まれた。
これに対し先月30日付毎日社説「処理水巡る中国の反発 沈静化へ責任ある対応を」で「事態の沈静化に向け、中国政府は国民に冷静な行動を呼び掛けるべきだ」と書いた。
また同日付の日経社説「中国は理不尽な迷惑行為をやめさせよ」は、「中国政府には、自国民による理不尽な嫌がらせ、危険な行為をやめさせる強い措置をとる義務がある。放置は許されない」と主張した。
いずれも、「突くべきはそこじゃないでしょう」と言いたくなるほど、問題の核心から外れている。
そもそも中国のやっていることは、確信犯行為だ。誤解や不理解による間違いでなく、相手を痛めつけることを目的とした世論戦を仕掛けている。